第11話 『武器』『防具』解放

 ――チュンチュン! チチチチッ!――


 小鳥のさえずりで目が覚める。太陽の光が眩しく、喉が渇いた。


 どうやら、あのまま一晩この場で眠りに落ちてしまっていたらしい。


「魔法石は使うと眠くなるってことか……」


 原因は一つしか考えられない。先日購入した魔法石だろう。


「値段のわりにどれも威力が弱い気も……、でも畑を耕したり、草刈りをしたり、水を撒いたりする分には若干効率が良いか?」


 あくまで作業の比較になるが、それならば狩りをしてptを得る労力と釣り合う気もする。

 迷宮でモンスターを狩って、魔法石で畑作り。


「寝る前にやれば安眠にもなるしな」


 そう考えると、俺は起き上がり服に付いた土を払った。





「シャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 三匹のリザードマンウォーリアが剣を振りかぶって襲い掛かってくる。


 同じタイミングではなく、お互いに攻撃するタイミングをずらしているので、たとえ攻撃を避けたとしても残りの二匹が確実に捉えてくるので、かなり厄介な攻撃だと思う。だが……。


「よっ!」


「シャ!」


「ほっ!」


「シャア⁉」


「やっ!」


「シャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」



 すべての攻撃を躱しつつ通り抜けてしまえば問題はない。


「それじゃあ、こっちの番だな!」


 俺は剣を構えると、真剣に相手の動きを見極める。そして、どう攻撃すれば行けるか頭の中で組み立てると……。


「ふっ!」


 地面を蹴ると、一気にモンスターとの距離を詰め、リザードマンウォーリアの横を通り抜けた。


 ——ドサドサドサッ!——


 地面に何かが倒れる音がする。倒れたのは俺の剣で半身とお別れしたリザードマンたちだった。


「うん、こんなものか。大分強くなったな」


 迷宮に入ってから二週間が経過した、最初は気のせいかと思っていたのだが、モンスターを倒すたびに俺は強くなっていた。


 力はもとより、素早く動けるようになったし、体力もついた。


 今も、白い光を発していないにも拘わらず、この動きができているので、この上、白い光の力まで上乗せすれば、より高ランクのモンスターとだって戦えるだろう。


 俺は戦利品を回収すると、迷宮をあとにした。





『残高20620ptです。継続してお売りいただけますか?』


 モノリスの買い取り査定が終了したので『いいえ』を押す。


『条件のクリアにより『武器』『防具』を解放します』


「おっ!」


 ようやく、新しい項目が解放された。早速確認してみる。


【武器】


・火属性剣 価格5000pt……火属性の魔力剣。火魔法を扱えるようになる。

・水属性剣 価格5000pt……水属性の魔力剣。水魔法を扱えるようになる。

・風属性剣 価格5000pt……風属性の魔力剣。風魔法を扱えるようになる。

・土属性剣 価格5000pt……土属性の魔力剣。土魔法を扱えるようになる。


【防具】


・火の鎧 価格5000pt……火属性の鎧。火を吸収する。水属性耐性あり。

・水の鎧 価格5000pt……水属性の鎧。水を吸収する。火属性耐性あり。

・風の鎧 価格5000pt……風属性の鎧。風を吸収する。土属性耐性あり。

・土の鎧 価格5000pt……土属性の鎧。土を吸収する。風属性耐性あり。

 


 見てみると、どれも市場で高値で取引されている武器防具ばかりだ。

 ただの属性剣ではなく、魔法を放てるというオプションはかなり強力だ。


 トーリが装備している剣は迷宮で手に入れた物なのだが、聖属性の魔力剣で、属性を乗せた攻撃は強力で、これまでの冒険者活動で何度救われたかわからない。


 属性こそ違うが、そんな魔力剣が4種類。しかも、無理すれば全部購入可能となっているのだ。


「とりあえず、出てくるモンスターの傾向から考えて『水属性剣』と『水の鎧』にしておくか……」


 今滞在している迷宮で湧いたモンスターの中には火を噴くやつもいる。水の鎧を選んでおけばダメージが軽減できるだろう。


「それにしても、これがあれば随分と楽にモンスターを倒せるようになるな……」


 今使っている武器は、所詮は店で売っている一級品。人の手で鍛えられており、材質も普通。


 魔力剣というのは、武器を振るう人間なら誰もが憧れている。それが手に入るというだけで、落ち着かなくなった。


 購入を押して、箱から剣と鎧が出てくると、俺は緊張しつつそれを手に取った。


「これが、魔力剣と魔力鎧か……」


 俺はゴクリと喉を鳴らすと、早速、今購入したばかりの武器防具を装備するのだった。

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