第10話 『魔法』解放
「よし、今日も良く探索をした」
本日も、迷宮でモンスターを倒して小屋に戻った俺は、入手した各アイテムをモノリスに売り払った。
最初は仲間もいない状態での戦闘に緊張したが、慣れてくればなんということもなく、傷を負っても『回復石』を豊富に揃えているのでおそれることもなくなった。
「そう言えば、最近、あまり疲れなくなってきたよな?」
以前は一度の戦闘に一つの回復石を使っていたのだが、最近では数度戦闘しなければ息切れしなくなった。
「それに……」
拳に力を入れてみる。
気のせいではなく、力が付いてきている。
もしかするとDランクモンスターを日常的に倒しているお蔭で、経験を積み、身体能力がアップしたのではないだろうか?
ここに転移させられたころより明らかに強くなっている実感があった。
「今ならもう少し強い、Cランクモンスターでも何とかなるかもな?」
積極的に戦いたいわけではないが、地力をつけ迷宮の奥に進んでいくとそうなる可能性もある。
そんなことを考えていると、
『残高10710ptです。継続してお売りいただけますか?』
モノリスの買い取り査定が終了していた。
出てきた表示に俺は『いいえ』を押す。
『条件のクリアにより『魔法』を解放します』
「えっ?」
メッセージを確認して、モノリスを操作すると『魔法』の項目が選べるようになっており、販売品が並べられていた。
・火力石(小)価格100pt……火精の力が封じられている。
・火力石(中)価格500pt……火精の力が封じられている。
・火力石(大)価格2000pt……火精の力が封じられている。
・火力石(特)価格10000pt……火精の力が封じられている。
・水力石(小)価格100pt……水精の力が封じられている。
・水力石(中)価格500pt……水精の力が封じられている。
・水力石(大)価格2000pt……水精の力が封じられている。
・水力石(特)価格10000pt……水精の力が封じられている。
・風力石(小)価格100pt……風精の力が封じられている。
・風力石(中)価格500pt……風精の力が封じられている。
・風力石(大)価格2000pt……風精の力が封じられている。
・風力石(特)価格10000pt……風精の力が封じられている。
・土力石(小)価格100pt……土精の力が封じられている。
・土力石(中)価格500pt……土精の力が封じられている。
・土力石(大)価格2000pt……土精の力が封じられている。
・土力石(特)価格10000pt……土精の力が封じられている。
初めて聞く名前のアイテムだ。
効果の説明を見る限り、それぞれ『火』『水』『風』『土』の力が封じられているようなのだが、石の大きさの違いはあれど、それぞれの規模に関してはざっくりとしていてわからない。
問題は、
「なぜこのタイミングで『魔法』が解放されたか?」
真っ先に考え付くのはptが10000を超えたからだろう。それか買い取りを行ったせいもあるかもしれない。
「とりあえず、全部買ってみて試して見るか……」
俺はモノリスを操作して石を買うと小屋から出た。
「早速だが、まずは実害がなさそうなところから試すか」
小屋からある程度離れたところにある平地に立つと、俺は『土力石(小)』を取り出した。
「えっと、使い方は……」
親切にも使い方に関する説明書がついていたので読んで見る。
『魔力を込めて投げてください』
「魔力を込めるって……」
キャロやメアリーならできるのかもしれないが、そう言われても俺にはいまいちピンとこない。
「こうか? いや、こんな感じか?」
石を握り締め、手を突き出したり振って見たり、とにかく色々と試してどうにか魔力を引き出そうとする。
基本、人間は魔力を持っているもので、モノリスで確認した時には俺にも確かに魔力が存在していた。
存在しているからには扱えるはず!
しばらくの間、あーでもない、こーでもないとあがいていると……。
「おっ! できた!?」
手の中の石がぶるりと震えた。
「えっと、これを投げるんだったな?」
おそろしい威力の可能性がある。俺は『土力石』を遠くに投げると、
――モリモリモリ――
投げた先で、土が盛り上がった。量にしてもそれ程多くない。
「こ、これで……100pt?」
そんな馬鹿な、と思って次に『風力石(小)』に魔力を込めて投げてみる。
――ヒュヒュヒュ――
青々と茂っていた草が風の力で切れ、数メートルの円を描いた。
「火は!?」
続けて『火力石(小)』を投げる。
――ボボボボボッ――
「暖かいな……」
しばらくの間、焚火にあたると俺はそんな感想を呟いた。
「最後に『水力石(小)か……」
ここに至ってはもう期待していない。俺が高く石を投げると……。
――ザザザザアアアアアアアアアアア――
効果が発動し、草原を水浸しにした。
「まてよ? 最後の水に関してはもしかして……」
微妙に使えそうなきがしないでもないような……。などと考えていると、
「あれっ?」
頭がくらっとする。
「急激に……眠……く……」
俺は抗えず、意識を失うのだった。
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