ElvesPitBoys.com

※第三話の予備知識


トッポ・クルシュ(黒エルフ)

無類のソーセージ好き。薄い皮でソーセージを作り、食べる時に剥くのが快感

彼は凄腕の精霊魔法の使い手で、彼が使役する風の大精霊は肉をミンチにし、水の大精霊は周囲をクリーンルーム並みに清潔にする。

トッポが気まぐれに作り出すハムやソーセージはエルフはおろかドワーフ達にも愛され、常に納品待ちの状態。

最近は転売商人に頭を悩ませている



エメル・ラジャン(白エルフ)

見事処女を捨て大人の女になった

エルフたばこで酩酊状態の勢いでトッポに襲い掛かるも、逆に襲われ立場を分からせられた。トッポはベッドヤクザ。

毎朝寝起きに「トッポ、ちゅきちゅきって愛してるのチューしてくれないとやー♡」等とメンヘラに磨きがかかる。

トッポと森のクマの浮気を疑いクマに凸してシバかれた


森のクマ

トッポの親友 言葉は通じないが河原での喧嘩の後認め合った

お前エルフの癖にやるじゃねえか……

お前もな……

そんなやり取りがあったとか無かったとか

真名はアカ=カブトと言うらしい

北の大密林で神獣ウルフと死闘を演じ、ウルフを認めて縄張りを渡した過去がある

性別はメス 最近禁断の愛について考える様になった




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「うわっまぶしっ!?」


 いつもの焚火用のファイヤーピットの横には大きなテーブルがある。

 それどころかドワーフに作らせた野外グリルが所狭しと並んでいる。

 トッポが料理をする時には必ずこうなる。

 天板の上には色々な食材が積まれているが、大概は肉である。

 野菜もあるにはあるがイモやタマネギと言った大雑把な物ばかり。


 最近は10時過ぎにならないと起きてこないエメルがノーブラのキャミソール、ローライズの飾り気のないボクサーショーツと言う、ヒト女子の様な寝間着姿で表に出てきた所、トッポの使役する精霊たちの発光する強烈な光をモロに見てしまい、股をおっぴろげてひっくり返った。

 

「………………草」


 それを一瞥して鼻で笑ったトッポは作業に移る。

 大きなボウルに大量のキラーボア(殺人イノシシ、体高5メートルのヤベーやつ)肉の一番いい場所を入れ、両手の中指を天に突き立て、威嚇するような表情で舌を出すポーズをすると、緑色の大精霊(最近成長したらしく半透明のえっちなお姉さん姿)がコルナ(日本ではメロイックサインと呼ばれる)のハンドサインをしながら輝くと、どこからともなく重低音が響いた。

 

 凄まじいデスボイスだ。

 森が揺れ大地が地震の様に暴れた。

 肉は見事なミンチへと変化。

 大精霊さんは満足したらしい。

 満足気な表情でトッポとヒジ同士をタッチした(※昨今のコロナウイルスに配慮し、最低限の接触のみで喜びを表しています)


 精霊と言う生き物は契約者の気質や記憶に影響される。

 それゆえトッポと契約した7人の大精霊は皆、えっちなスタイルなのである。

 まるでUSAの人気ポルノ女優の様に。

 ちなみに先ほどの重低音の凄まじいリフの雨は作業をしていない他のメンバーが状況に応じて演奏するメタルである。

 スラッシュメタルと呼ばれるテンポの速いタイプのメタルだ。


 そしてミンチ肉にはトッポが育てたハーブや山でとれた岩塩で味付けをし、白と黒の大精霊が慣れた様子でケーシングをする(※動物の腸などを使ったソーセージの皮)

 白精霊がミチミチにミンチ肉をつめるとクルンと捩じり、ある程度の長さになったら黒精霊がそれをボイルしていく。

 

 すると黄色い大精霊が準備してあった箱の中にそれらを吊るしていく。

 森の素敵な世界樹のチップを燻しての燻製である。

 香りも素晴らしいが、天然由来のマナがタップリで栄養的にも最高だったりする。

 そして完成したのが艶々の飴色になったぶっといソーセージ。

 

 作業は半日にも及び、見れば大量のソーセージが山になっている。

 そこにどこからか揉み手をした狐人族の商人たちが現れ「へへっ、エルフさま、毎度ありがとうございます」と愛想笑いをしながら、完成したソーセージを荷馬車に積み込んでいく。

 

 彼らはヒトの街に出入りするやり手の商人で、トッポのソーセージは王侯貴族の中では幻の美食として流通しており、面倒で商売ッ気の一切ないトッポの為に彼らが仲介を買って出た。

 そして当然即売れするのだが、利益から30%ほどを手数料として抜いたあとにトッポの蔵に代金が入れられる。


 といってもトッポには立身出世も名声も欲しくないので、大量の王国金貨は貯まる一方で、せいぜいそれをバスタブに入れて浸かるという奇行をするくらいでしか使わない。

 なお、蔵の存在はエメルには秘匿されている。

 理由は推して知るべし。


 そして狐のキャラバンが帰った後、トッポは自分の為に料理を始める。

 ソーセージに分厚い自家製ベイケン(※ベーコンではないベイケンである)をグルグルと巻いて、それを炭火のグリルで焼いていく。

 同時に大きなスキレットでは輪切りにしたタマネギが飴色に炒められている。


 後は背割れにしたバゲットにタマネギをしきつめ、そこにソーセージをこれでもかと投入。

 だがこれで終わりじゃない。

 トッポがブレンドしたバーベキューソースをタップリとかけ、さらに大量のシュレッドチーズが載せられ、グリルの上で軽く蓋をして蒸し焼く。

 するとどうだ。

 溶けだしたチーズがなんともうまそうにコーティングするではないか。


 見ているだけで旨いのがわかる。

 視覚的に、生理的にウマイの暴力が具現化している。

 満足気に頷いたトッポはカロリーの暴風たるロングサンドイッチをカットすることなく持ち上げ、そしてあんぐりと大口を開いて噛みついた。


 二度、三度、静かな咀嚼音が夕暮れの森に響く。

 彼は無言で何度も頷き、そして、


Can You Smell That?よぉ、この匂いが届いているか?This Smell is GUUD!最高すぎんだろ!


 トッポは静かに、だが力強くサムズアップした。

 なぜ作った本人が真っ先に食うのか。

 それはピットマスターの特権だからだ。

 

 そしてトッポは愛用のブッチャーナイフでエールの瓶をクールに開けると、一気に飲み干し、満足そうに笑ったのである。


 ※動画的な見栄えを考え、ロングサンドイッチは大量に作っていますが、スタッフ(エメル)が責任をもって食べていますので、ごあんしんください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る