第18話 エンドレス土曜日

 悠真君の頭を撫でると、気持ち良さそうにしている。

 それが可愛くて、愛おしくてたまらない。

 悠真君のことが大好き。

 そう伝えたい。

 私も好きだよって言いたい。

 悠真君と恋人同士になれて本当に嬉しいんだってことをアピールしたい。

 私は悠真君をギュッと抱きしめた。悠真君を強く感じる。


「あの、美月さん」


「どうしたの?」


「その……手を繋ぐのは恥ずかしくありませんか? 周りには人もいますし」


 悠真君は優しい声で私に話しかけてくる。

 確かに、周囲には人がいて賑やかな声が聞こえる。

 でも、全然気にならなかった。

 むしろ、悠真君と触れ合える時間が増えたから、幸せを感じている。

 私は悠真君から体を離して、微笑む。

 悠真君は私の笑顔を見て、安心してくれたようだ。

 悠真君は繋いでいない方の手で、私の頭を優しく撫でてくれる。

 それが嬉しくて仕方がない。

 悠真君がこんなにも近くにいる。

 そのことを実感できて、胸が高鳴った。


 * ** 5分後。


 私は悠真君から離れた。

 悠真君は私から離れてからもずっと私を見てくれていて、ドキドキする。

 悠真君は私から離れたくないと思ってくれてるのかな。


「えっと……その……」


「……」


「ごめんなさい!」


「ふぇっ!?」


 突然謝ってきたので、変な声が出てしまった。


「美月さんが嫌じゃないなら、もう少しこのままでもいいですか?」


「もちろんいいよ! というより、私がお願いしたいぐらいだよ。だって、こうして悠真君と触れ合っていたいから」


 今の私はきっとすごく幸せそうな笑みを浮かべていることだろう。

 自分でも分かる。

 すると、悠真君は嬉しそうに笑ってくれた。

 それから、私達はソファーに座って、手を繋いだ状態で会話を始めた。


 * **


「じゃあ、自己紹介しようか」


「はい」


「まずは私からだね。名前は星宮ほしみや美月みつきです。美月と呼んでください。よろしくお願いします。趣味は読書で、好きな食べ物は甘いものです。嫌いなものは特にないけど、辛いものは苦手なのです。好きな男性のタイプは……」


「待って、ストップ! ちょっと落ち着いて」


「あっ、ごめんなさい。いきなりたくさん喋っちゃって……」


「いえ、大丈夫ですよ。美月さんのことを知れたので良かったです。では、次は俺ですね。名前は小鳥遊たかなし悠真ゆうまと言います。年齢は15歳で、誕生日は7月23日で、星座は獅子座です。血液型はO型で、身長は172cm。体重は60kg。家族構成は母さんと父さんと姉さんの4人暮らしです。あと、趣味はゲームと料理で、特技は家事全般と剣道です。好きな女性のタイプの女性は……」


「わーっ! 分かった、もう十分だから!」


 悠真君の口から次々と出てくる言葉に驚いてしまう。

 そして、恥ずかしくなってきてしまう。

 顔が熱くなっているのを感じる。


「すみません。少し飛ばしすぎましたか?」


「うん……。かなり飛ばしたと思う……」


「そうだったんですか……」


 悠真君は申し訳なさそうな表情をしている。


「それじゃあ、今度は俺の番ですね。趣味はゲームで、特にRPGが好きです。アニメや漫画もよく見ています。あとは、運動が好きですね。最近はサッカーをよくやっています。ちなみに、今1番ハマっているスポーツはテニスです。他には、カラオケに行くことも好きですね。美月さんが歌っていた曲を歌ったこともあります。他に何かありますか?」


 悠真君は私に気遣ってくれたのか、話題を変えてくれた。

 私はホッとしながら答える。

 趣味のことや好きな音楽のことなどを話せたおかげで、悠真君のことを色々と知ることができた。

 悠真君に私のことを知ってもらえることができて嬉しい。

 悠真君に好きな女性について質問されたときはドキッとした。

 悠真君のことだから答えてくれるとは思うけれど、どんなことを言われるか少し怖かった。

 でも、悠真君は優しい笑顔を見せながら「美月さんみたいな人が理想の女性です」と言ってくれた。

 それが嬉しかった。


「美月さんは歌うのが好きなんですね」


「うん。昔から音楽を聞くと楽しくなるんだよね。今は家にいるときはほとんど音楽を聴くことが多いかな。昔はよく友達と一緒に歌ったりしていたんだよ」


「へえ、そうだったんですね。じゃあ、美月さんの歌をいつか聞いてみたいです」


「うん! ぜひ聴いてほしいな」


「はい。楽しみにしておきます」


 悠真君は楽しそうに笑った。私も自然と笑顔になる。

 悠真君と話していると、とても楽しい気持ちになれる。

 悠真君ともっと仲良くなりたい。

 一緒に遊びに行きたい。

 色々なことをお話ししたい。

 そんな想いが強くなっていく。

 これから先もずっと、悠真君の隣にいたいな。

 悠真君が家に帰ってからは、いつも通りの生活に戻った。

 私と彼は恋人同士になったものの、学校でも会えるからそこまで大きな変化はない。

 今日は土曜日。

 学校は休みだ。

 私は朝食を食べ終えると、自室に戻る。

 そして、ベッドの上で横になり、スマホでメッセージアプリを開いた。

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