第14話 またあとがき……あれ、もしかして終わりたがってる?
あと、いつか美月さんと一緒にどこかへ行きたいな。
「悠真君も食べてみて」
「それじゃあ、いただきますね」
まずは、チョコケーキから。
フォークを使って一口サイズに切り分け、口に運ぶ。
「……美味しい」
「本当? よかった!」
「悠真君のケーキはどうだい?」
「すごく美味しいです」
「それは何よりだ」
俺の言葉を聞き、美月さんのお父さんは満足げな様子でうなずく。
本当に美味しいな。
俺の作ったのと全然違うぞ。
スポンジはフワフワだし、生クリームも滑らかで。
俺が使っている材料は、普段買っているのと同じなのに。
やっぱり、美月さんはお菓子作りが上手なんだな。
その後、俺と美月さんは美月さんが作ったお菓子を食べた。
どのスイーツも絶品だったなぁ。
特にチョコレートケーキとフルーツタルトは最高に美味しかった。
「ふぅ、ごちそうさま」
「お粗末様です」
「いやー、悠真君はいい腕を持っているね」
「ありがとうございます。でも、今日は俺一人で作ったわけじゃないので。美月さんのおかげですね」
「そっか。美月のおかげか……美月、いつも美味しいお菓子を作ってくれてありがとう。これからも、美月の作った美味しいお菓子を食べさせてくれ。よろしく頼むよ」
美月さんのお父さんがそう言って頭を下げると、美月さんは照れ臭そうにはにかみながらうなずいた。
美月さんが幸せそうな顔をしていて俺まで幸せな気分になった。
この二人の関係、ずっと続けばいいなと思う。
***
あとがき
お読みいただきありがとうございました! 次話は明日投稿する予定です。
次回も引き続き悠真視点でお送りします。
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モチベアップに繋がりますので、よろしくお願いしますm(__)m
「悠真君、お待たせー!」
昼過ぎ。
俺は家の近くにある公園で美月さんが来るのを待っていた。
すると、後ろから元気の良い声が聞こえてきたので振り返る。そこには、ピンクの花柄ワンピースを着た美月さんの姿があった。
「こんにちは、美月さん」
今日の美月さんは私服姿なので、学校で会う時よりも大人っぽく見える。
それに、可愛いらしい服装がとてもよく似合っているなと思った。
制服姿が見慣れているせいなのか、新鮮さを感じる。
そんなことを考えていたら、急に恥ずかしくなってきた。
「悠真君、どうかしたの?」
「い、いえ。なんでもないです」
「なら、良いけど……あっ! 今日は悠真君の誕生日だから、頑張ってオシャレしてきたんだよ!」
「えっ?」
「悠真君がどんな反応するか気になってたんだけど、喜んでくれたみたいで良かった」
美月さんはほっとしたように胸を撫で下ろすと、嬉しそうな笑みを浮かべる。
「もちろん、すごく嬉しいですよ。それに、美月さんがオシャレをしていることに気付かなくてすみません。でも、その……すごく可愛かったので、思わずドキドキしてしまいました」
正直に思ったことを言ったのだが、美月さんの顔がみるみると赤くなっていく。
しまった。
いきなりこんなことを言うべきではなかったかもしれない。
今のはセクハラとかにならないだろうか……。
いや、美月さんの反応を見る限り大丈夫そうだな。
「……もう、そんなこと言われたらますます好きになっちゃうよ」
美月さんの口からボソッと漏れた言葉。それは、しっかりと俺の耳に届いていた。
そして、彼女の顔は真っ赤になっている。
「えっと、今なんて言いました?」
「な、何も言ってないよ!」
美月さんは慌てた様子で言う。
「そうですか……」
……まあ、本人が否定する以上は深く追求しない方が良いだろう。
とりあえず、話を逸らすことにするか。
「あの、ところでどこに行きましょうか?」
そう聞くと、美月さんは俺の手を握る。
そして、俺の目を見つめながら答えてくれる。
手を握ってきたってことは、俺と手を繋ぎたかったのか?
……美月さんは俺のことを信頼してくれているんだろうな。
美月さんの柔らかい手の感触を感じつつ、そう思うのであった。
美月さんが住んでいるマンションを出て、電車に乗って少し移動したところにあるショッピングモール。
ここには、様々な店舗が入っているので、買い物には困らない場所だ。
「ここに来るのは久々ですね」
「うん。ここに来るのは1年ぶりくらいかな」
「へぇ、そうなんですね」
1年前は俺と美月さんがまだ付き合っていなかった頃。
つまり、友達だった頃の話である。
俺と美月さんが初めてデートをした日に行った場所はここだったのだ。
「今日は何を買うんですか?」
「色々と買おうと思っていて。文房具とか、洋服とか」
そう言うと、美月さんは俺の腕に抱きついてくる。
そんな行動が可愛らしくてドキッとする。また、腕に当たる柔らかな膨らみの感触にも。
……あれ?
もしかして、わざと当ててるのか?
「どうしたの、悠真君?」
「いえ、何でもないです」
「そう。それじゃ、行こうか。まずは雑貨屋さんに行かない?」
「はい。分かりました」
それから俺達は、色々な店を見て回った。
「このマグカップ、可愛いね。悠真君はどれが良いと思う?」
「うーん……俺はこの青いやつが好きですかね」
「そっか。私は赤いのが好きかも。あっ、悠真君の誕生石と同じ色のもあるよ!」
「本当ですね」
俺達はそれぞれ好きなデザインのマグカップを選んだ。
ちなみに、誕生日プレゼントとしてお互いに贈り合う予定なのだ。
その後、俺は美月さんと一緒に文房具を買いに行くことにした。
そこで、俺はあるペンを見つける。
それは、美月さんが持っているものに似ているデザインのもの。
美月さんもそれに気づいたようで、「悠真君が持ってるのと似てるね」と言って微笑む。
「はい。これ、美月さんに似合いそうだなって思って」
「私も同じこと考えてたよ! お揃いで買いたいなーって思ってたの」
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