第9話 静かなる者同士
翌朝。
目覚めは悪いが、いつもの時間通りに起きた。
今日の時間割を見ると、HRが3,4限に入っていた。
恐らく遠足のレクリエーションか何かだろう。
俺は授業をボーッと聞いているよりは、幾らかマシだと思っている。
3限になり、担任が教室に入ってきた。
「はーい!とりあえず遠足の班決めちゃおうか!」
どうやって班を決めるのだろうか。
もし各自で作るなら、俺は確実に浮いてしまい、誰かの慈悲に頼ることになってしまう。
それは嫌すぎる。
頼むから、教師が勝手に決めてくれ…
「せんせー、どうやって決めるの?」
あいつは、このクラスの
「うん、よく聞いてくれたっ!くじ引きで決めるよ!
自分たちで作らせると、入れなくなっちゃう子が出てきちゃうからね」
おい。なんで今、俺の方をチラッと見たんだ。
君が可哀想だからって言いたいのか?おい。
ま、まぁでも、1人余るよりはマシか。
うん。そういうことにしておこう。
「じゃあ早速、引きたい人から前で引いてー」
担任の指示が入った途端、
相変わらず目立ちがり屋なんだな。
まったく、俺には考えられない。
「よっしゃー!いちばーん!」
「お前、残り物には福があるって言うんだぜ?」
そんな
1番最後に引こうとしたが、それではかえって目立ってしまうので、辞めた。
「うん、みんなくじ引いたかなー?」
俺が引いたのは、2番だった。
恐らく、2班という事であろう。
「班はそれぞれ4人だからね!みんな自分の班は覚えたかな?」
他の3人はどのような人なんだろう。
せめて静かな人がいいな・・・
「じゃあ、各班で集まって自己紹介してね!」
番号の書いてある紙を握りながら、頼むから静かな人と、杉山くんが俺と同じであってくれと祈っていると……
誰かが肩を叩いてきた。
振り向くが誰もいない。
まま、まさか、お化けか・・・?
確かに今、誰かに叩かれた。それだけは間違いない。
「エっ・・・?お化け・・・?」
「あの」
どうやら、下から声がする。
その方向に視線を落とすと、背の低い女の子が俺を少し見上げてムスッとしていた。
「あ、ああ、ごめん・・・どうしたの?」
さっきは背が低すぎて、俺の視界に映っていなかっただけのようだ。
お化けだなんて失礼な事言ったな・・・
「きみ、2班?」
その少女は気だるそうに話していて、眠そうな目をしていた。
少女の髪はその
動く度に揺れる2房の髪が可愛らしい。
肌は雪のように白く、とてもなめらかだ。
その体躯は細く、しっかり食べているのか不安になるほど。
「う、うん、そうだけど、君も2班なの?」
「……うん」
同じ班の女子がギャルじゃなくて良かった、と心底安心している。
ちょっと静かすぎてやりずらい所もあるけど、
これはこれで俺に合っているかもしれない。
「そ、そっか…」
「……」
ん?ちょっと待てよ?
俺は今、女の子と普通に話していなかったか?
これが普通と言えるのかは分からないが、確かに俺は今、美少女と話していた…!
こ、この調子なら目標も案外簡単に達成できるかもしれないな。
そんな余裕をぶっこいていると、あっちで嵯峨が手を振って何か言っているようだ。
「おーい!2班のやつこっちー!」
ま、まさか俺が嵯峨と?あんな奴と俺が馴染めるのか?
いや否。断じて否ッ!
無視されるか、
ーいや、待てよ?
その隣には、杉山くんがいるじゃあないか。
もし彼と同じ班なら、杉山くんが助け舟を出してくれるかもしれない。
案外良い班かもしれないな。
「……行こう」
「そ、そうだね…」
お互いに相槌を打って、俺たちは嵯峨の元へ向かった。
「お、残りはお前らかー?」
「そ、そうだよ」
それを聞いた嵯峨は、そうかと呟いた後、俺たちに手を差し出してきた。
な、なんかされるのか…?
「俺は嵯峨だ!よろしくな!」
な、なんだ、握手か。
どうかされてしまうと身構えてしまった。
「こ、こちらこそ…」
握手を求められたので、俺も応じた。一応人ではあるからな。
俺の手を握った嵯峨は、ブンブン振り回してる。
痛い痛い。力が強いんだよ、まったく。
「あぁ、すまんすまん」
やっと離してくれたか。
まぁでも、悪いやつでは無さそうだな。
おっと、自己紹介をするのか。
名前だけでいいか、取り敢えず。
「あ、朝比奈 悠です…よろしくお願いします」
「朝比奈くん、昨日ぶりだね」
おぉ…杉山くんだ…
この人となら、俺でも友達になれそうだ…
いや、なりたい。遠足で仲良くなれれば良いな。
そしていよいよ、俺の隣に立つ少女が口を開く。
「……玉木、
その声は高く透き通っていて、なんというか、まさに琴を連想させるような声をしていた。
「おう、玉木か!よろしく!」
うんうん!と、嵯峨が腕を組んで頷いていた。
今回の目標はこの玉木さん?に自分から話しかければ達成だ。
しかし自分からだと、相手が話しかけるなオーラがあって少し難しいかもしれないな…
まぁそこは、静かなる者同士でなんとか頑張ってみよう。
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今回も読んでいただき、ありがとうございます!
いよいよ新ヒロイン登場です!!
実は私ロリk...ゲフンゲフン。
次回もお楽しみに!
それでは!
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