ー 第1部 2年生編 ー

第一章 1つ目の目標編

第1話 出会いは・・・突然?!

2020年、桜が咲く頃、

このお話は、とある高校生の半生の、ほんの1ページである・・・






4月になって、ようやく俺は楓倉かえでくら高等校の2年に進級した。

1年の頃は特に部活にも入らず、ただゲームをしたり、アニメを見ながら適当に過ごした。

思い返すと、これといった思い出があまり浮かんでこないな。


外は少し肌寒いが、過ごしやすい気温であった。


「もう2年かぁ・・・」


近所の公園に咲く桜をふと見上げながら、ため息をつく。

高校なんて3年間しかないのに、何もせずにその3分の1が終わってしまったのだ。


「俺だってアニメみたいな恋愛して、友達と遊んだりしたかったな・・・」


冴えない俺にもちろん"彼女"なんてものはいた事がなく、ましてや友達もいない。

そんな俺にとってどうでもいい事を考えながら、学校に向かう。


しばらく歩いていると、とある女の子が道端みちばたに座り込んでいるお年寄りを助けているのが見えた。


そのお年寄りのかたわらには重そうな買い物袋が2つ置いてあり、女の子が頑張って持とうとしていた。

だが買い物袋は少し持ち上がっただけで、運べるような様子はない。


俺はそれをしばらく眺めていたが、男である俺が手伝ってあげないとという、謎の使命感に駆られていた。

当時の俺にはきっと、友達が出来ない焦りがあったのだろう。二度と来ないチャンスだと思って、行動を起こしていた。


「に、荷物、持ちま・・・しょうか」


俺の行動に目を丸くした女の子は、長く、つやのある黒色の髪の毛を揺らしていた。瞳は月光のように透き通った琥珀色をしている。

厚く、ふっくらとした淡いピンクの唇と、くりりとした大きな目だった。

彼女のその美貌びぼうを見て通り過ぎ行く男達は、感嘆の息を吐きつつ振り返っていた。


長い髪の隙間から見えたその美貌に思わず、息を呑んだ。

いけない、いささか見れてしまった。


「お兄さんも手伝ってくれるのかい。じゃあ、あそこまで頼もうかしら」


そう言っておばあさんは100m程先の、電柱を指さした。

そうして俺は、自分のありもしない筋力を振り絞り、ふらつきながらもなんとか電柱まで運んだ。

それを後ろから彼女は、心配そうに見ていた。

袋の持ち手が手にくい込み、赤くなっていた。

運び終わった後、彼女はキョトンとした顔で俺にお礼を言った。


「あ、ありがとう?」


なんで疑問符がついているんだ。

飲み物などが袋には入っており、貧弱な体である俺にとってはかなり・・・重かった。

だが俺は彼女の前でいい所を見せたくて、頑張って2つ持ち上げて運んだ。


目的地に着く頃には腰が軽く悲鳴を上げていた。

バイトもしてない帰宅部には流石にキツすぎたようだ。


「ありがとうねぇ、お二人さん。こんなに優しい人がいるんだもの、人生も捨てたもんじゃないわねぇ」


「いえいえ、大丈夫ですよ。お怪我が無くて良かったです!」


彼女は律儀にお礼を受け取った。


「君も、ありがとうね!私にはちょっとだけ重かったから」


彼女は、晴れやかな顔で、ニコリと笑った。


「い、いや、大丈夫だよ。重そうだったから」


女の子と話す事が滅多に無い俺は、とても緊張したけど、頑張って返した。


「ごめん私、もう学校行かないと遅れちゃうから!」


そう言って彼女は、スタタと忙しなく走り去っていった。

どこか足取りが危なげだが、とても元気のある人のようだった。

俺では、とても関わることの無い人だったと思う。


この時に行動を起こして良かったと、今では当時の自分を誇りに思っている。


「じゃあ俺も、行きますね」


「ありがとうねぇ、学校、がんばってきてねぇ」


そう言っておばあさんに別れを告げた。

恐らく家の近くまで運んだので、もう大丈夫だろう。

そんなことより、俺も遅刻してしまうので早く行かないと・・・

そういえば、あの子の名前、聞けなかったな・・・

俺と同じ制服だったけど、3年生だったのかな?

いつか学校とかで、会えたらいいなぁ・・・

俺は、そんなはかない願いを抱いて学校へ向かった。




*********

遂に、物語スタートです!!


読みながら、主人公が誰と結ばれるのかを考察してみてください!

一応ラブコメです。


まだまだ初心者ですが、今後もどうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m

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