記者2
「というのが、私がここにいる経緯です。」
「なんていうかめちゃくちゃですね。」
すでに朝4時を回っていた。私は目をこする。
「これは久遠さんの受け売りですが、殺し屋というのは3パターンあるらしいです。」
「ほう?」
山佐は、興味深そうな目で見る。
「1つは殺しは仕事のタイプ。それ以上でもそれ以下でもない人たち。久遠さんがこのタイプですね。」
「淡々と仕事してそうなイメージがありますもんね。」
「2つは金のため。倫理観を持ち合わせていて、罪悪感を持っている人たちです。1番死にやすい上に、素人が多いらしいです。」
「選択肢がなくなった人たち、というところですか。」
「3つは、ただの変態です。オミトを見てたらわかりますが、殺しと拷問は趣味です。」
「旦那さんのこと、その怖くないんですか?」
私はまた紅茶をすする。
「家族か仲間だと思われているうちは大丈夫ですよ。」
「家族、ですか?」
「オミトは、その相手の関係性によって態度が全く違います。そうやって、人間性を保っているんです。」
山佐はつばを呑み込む。
「ところで、今夜は泊まられますか?」
「ええ、まあ。そのつもりです。」
「じゃあ、客室に案内します。そろそろ眠くて。」
「ああ、すみません。気がつかなくて。」
私は空いている部屋を案内した。
「シャワーは適当に使ってください。」
「ええ。」
自室に戻るといつも通り、久遠が壁にもたれかかって寝ており、オミトはベッドで寝ていた。
私は潜り込む。
あの記者、胡散臭い男だった。私の話を聞くときにメモを取っていたし、録音もしていたから記者なのは事実だろう。でも、何でこんなに違和感あるんだ?
「シュノ。」
「ごめん、起こした?」
「気にしないでくれ。」
「あの記者の男、どこから連れてきたの?」
「こないだ殺しの依頼をした人からの紹介。」
「ふーん?」
「お得意さんだから、断るわけにはいかなくてさ。嫌じゃなかった?」
「あなたが、酔うよりもずっとマシよ。」
「それは悪かった。ああ、それと。ーーしばらくあの記者は家に泊めるから。」
「え?」
「お得意さんがね、接待してくれだって。」
「わかった。」
「話しかけておいて悪いが、やっぱりもう一回寝る。」
オミトはそう言ってまた爆睡していた。私もうとうとしていたが、何となく寝れなかった。
そしてまた、昔のことを思い出していた。
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