再会

病室まで行くと、勝谷が待っていた。

「いつ目を覚ましたんだ?」 

「2日前よ。検査や診察があったから連絡してなかったけど。」

「状態は?」

「悪くないわ。あ、そうそう病室入るのは短時間でなるべく少ない人数にしてね。」

「じゃ、久遠だけで行ってくれ。」

「うん……。」

久遠は緊張しながら病室に入った。

勝谷と私とオミトが残される。

「すぐ、退院できそうか?」

「いいえ。しばらくは病院でリハビリね。植物状態が長かったせいで、筋肉力も落ちているし、検査してみないと。」

「ああ。自宅て準備しないといけないことってあるのか?」

「そうね、本人にも寄るけどーーって、え?自宅連れて帰るの?」

「おかしなこと言ったか?」

「部屋とかどうするのよ?シュノちゃんの許可取った?」

勝谷はこちらにアイコンタクトしてくる。

私は首を振った。

「許可も何も……初耳だけど?」

勝谷がため息をつくと、オミトに向かって

「オミト、アンタはいつもいつもーー!」

「だからー!後で許可取るつもりだったんだ!」

「シュノの気持ち考えなさいよ!」

「気持ちも何も……!」

私はオミトの腕を掴んで、ヒートアップする前に止める。

「大丈夫!大丈夫だから!」

「……シュノ。」

「伊緒奈さん来てもいいよ、やっと久遠さんと一緒にいれるんだもんね。」

「ああ、すまない。」

「はあ……、とりあえず今日は帰って。伊緒奈もまだ体力が心もとないし。」

「はいはい。ーー久遠?」

扉の外から声をかけると久遠が出てくる。明らかに嬉しそうな表情だった。

「伊緒奈と話せた?」

久遠は何度も頷いた。

「これからは好きなだけ会えるな。」

「ああ。」

「今日はお祝いね。」


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