7.5話。美来の喋り方のお話(おまけ)
「そういえば、師匠って変な喋り方しますよね。意味を圧縮して喋るというか……」
「ん。これでも周りに合わせてる方だよ。一人だともっと酷いし」
「そんなにですか?」
「うん。そもそも私は独り言多いタイプなんだよ。思考速度が早いからね。そのままだと思考がまとまらなくなっちゃうんだ。
これは私に限らず皆その傾向あるんだけど、特に私はね。対処法として思考を言葉にして喋るってのがあるの。思考が暴走しないよう捕まえるイメージだね。
でも私は思考が早すぎるし、流石に独り言も途切れ途切れになりがちなんだよね」
「ほへ〜。
……ちなみに、どんな喋り方なんですか?」
「多分何言ってるかわかんないと思うよ?
あと、話す内容がないとね」
「じゃあ試しに特訓内容の解説とか……好きに喋ってみる感じで」
「あー、了解。いいよ。
それじゃ───次だけど、経験だね。慣れないから。何度もやれば良いでしょ。あんまり考えないで良いかな。色々だから辛いかもね。まぁ休憩もするか。ただ死ぬだけじゃあれだけど。本気でやろうか。予行演習も兼ねてね。手加減は必要か。容赦は別かな。時間かかりそうだね。お腹空いてきたな。今持ってないし、暇だろうからそこでだね。とりあえずパターン別。久々に使うな。まず用意してくるね。
……どう?」
「……何もわかりませんでした! ちゃんと考えて喋ってくれてたんですね……」
「そうだよ。ちゃんとエマのこと考えて喋ってるよ。
何なら考え事でリソース使うから、私の想定よりもわかりやすくなってるはず
……ちなみに、今のをわかりやすく纏めると“これから死の感覚になれるために何回も殺し合いをするから私を殺す気で頑張ってね”って感じだよ」
「……時には、わからない方が幸せなこともあるんですね……」
───[美来の喋り方のお話]───
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