第33話 兼継恋愛イベント其の一「越後花言葉」3 ~桜姫視点~
翌日は雪村ではなく、兼継の邸の侍女が花を届けにきた。
お前はゆうべ、兼継の邸で何をした? 燃料を投下すんなと忠告せねばと、雪村を待ち構えていたんだが。そういう時に限ってこのザマだ。
ちなみに届いた花は、
「白粉花の種はお化粧に使えますのよ。きっと兼継様は、姫さまがより美しくなるように願われたのですわ」
白粉花の花言葉は『臆病』『内気』そして『恋を
『恋の
何かおかしくない?
乙女ゲームってのは、もう少しデレデレ恋愛していて甘々じゃないのか?
いや、ゲームの兼継も序盤は素っ気なかったじゃないか。
もう少し様子を見るべきか?
この花だって、本気なのかを問う意味だと取れなくも無い。
そんな事を考えていたら、兼継のとこの侍女が、中年侍女に顔を向けた。
「お
「雪村はどうしたのですか?」
「兼継様の
俺の疑問を中年侍女が代弁すると、お使いの侍女は少し首を
こちらに
俺と中年侍女は 顔を見合わせた。
*************** ***************
「
「……別に雪村は、わたくしの家臣という訳ではありませんから。父上様のご遺言に忠実なだけです。ここまでして
やっぱり他の男のイベントに、雪村を使うのは
雪村が気にしなくても、兼継が気にしたんだろう。
よし! ごちゃごちゃ考えるのも面倒だ。花を選んだら俺が直接、兼継のところに持って行こう。
あいつはいつも
*************** ***************
白粉花の返花には、やっぱり侍女衆の間でも
「姫さま、何か誤解があるのかも知れませんわ。何かそのような意味の花を贈って
誤解も何も。俺が
兼継もそう思ったんだろうよ。あいつは「紫丁香花を贈れ」ってアドバイスしたのが侍女衆だって知らないからな。 俺を全面的に悪女扱いだよ。
*************** ***************
冊子とにらめっこして吟味した結果、俺は
ヘクソカズラですって。すごい
ちなみに花言葉は『誤解を解きたい』。そこは侍女衆の意見を取り入れた。
「今から花を持って
ムカつく花を返してくる事にも一言いいたかったし、直接、屁糞葛を
こんな名前だけあって この花、けっこう
ずかずか廊下を歩く俺を見て、家臣たちが驚いた顔で道を開ける。
俺は花を握りしめ、
*************** ***************
「姫、ここは越後の
涼しいを通り越した冷たい視線で、兼継が向き直る。
正論にぐうの
「雪村が来てくれないから、自分で来てしまったわ。雪村はどうしたの?」
「雪村には使いを
自分でそう思っていても、他人に言われると腹が立つな。
俺はつんと顔を
「それを言うなら、雪村は兼継殿の家臣でもないわ。なぜお使いを頼むの?」
俺と兼継の間に、吹き
俺は軽く
空気が
売り言葉に買い言葉で言っちまったが、これはアレだ。
雪村に花の使いをさせまいと、桜姫から引き
いまさら気づくなよ、俺。
どれくらい時間が過ぎたか、兼継がふと
「雪村が戻る前にすべて終わらせたい。期限は三日だ。その花が姫の返事だな? 別に解くような誤解もないが、私からはこれを返す」
立ち上がった兼継が、
「姫がお帰りだ。
右手に
やんわり部屋から追い出され、俺はとぼとぼと奥御殿へと戻った。
押しつけ
*************** ***************
戻ってから調べてみると、返された花は
花言葉は『私に
……桜姫は主人公で、ここは乙女ゲームの世界なんだよな?
兼継イベントの
攻略対象が、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます