第29話 雪村イベント・勃発 ~桜姫視点~
『
あのゲームでは1日に1回、任意の武将に『
武将はふたりまで選べるから、戦闘力が高い
18禁乙女ゲームのくせに、こんな所に
このゲームに手を出す女って、戦いに
まあそれは置いておいて。
ゲームではそうして『討伐』を頼んでおけば、勝手に好感度が上がってイベントが発生したんだが、ここではそうはいかない。
『討伐』コマンドがないのだ。当たり前だけど。
だったら俺は、どうやってあいつらの好感度を稼いだらいいんだよ。
『討伐』以外で好感度を稼ぐとなると、
こっちの世界で、雪村の『通常会話』があれだけ発生してもこのザマだぞ?
他の奴で、イベント発生させられるほど稼げるか? 普通に無理だろ。
だからといって、好感度に関係なく選択肢だけで攻略できる、
あいつらは
それはともかく雪村の奴、ずいぶんと恋の花言葉に
乙女ゲームのメインヒーローに、そんな裏設定があったら炎上必至だろうが、あのゲーム会社ならやりかねない。
兼継をやたら
俺は疑心暗鬼になりながら、雪村に
「ずいぶんと恋のお花に詳しいのね? 誰かにいただいた事があるの?」
「いえ、私ではありません。兼継殿がよく花をいただいていて、お返しを代わりに届けに行くことがあったのです。その時に聞いたのだと思います」
などと言いながら、雪村が記憶を探るような表情になる。
やっぱりこいつ、心当たりがあるんじゃないか?
しかしここで、しつこく追及するのもどうかと思う。
誰だって「違う」と言っているのに、しつこく追及されたら嫌だしな。ましてや今の桜姫は、雪村の彼女でも何でもない。
俺は手元の
「兼継殿は、そんなにたくさんいただいていたの?」
「はい。兼継殿は和歌を
やべえ、和歌なんか詠まれても、どんな意味だかさっぱりわからん。
というか「兼継は和歌が
初めて知ったぞ!?
ゲームなら、選択肢の中から適当に選べばいいが、こっちの世界では空中に選択肢なんか表示されない。俺自身でなんとかしなきゃならん。
どうすんの、俺!?
色々と思うところはあるが返事はひとつだ。
「……和歌なんて返されてもお
雪村の女関係
*************** ***************
「返歌に自信がないなら
雪村が
……うん、まあそうかもな。本人以上に盛り上がるところまで想像できるわ。
そこまで言うなら雪村の顔をたてて花を贈ってもいいが、和歌を返されたらそこで終了でいいだろ? 兼継を攻略するつもりはないんだから。
それより雪村だよ。こいつ、他の女に花を贈ったことあるの?
そもそもこの
今までの記憶を
いや待てよ? 甲斐から迎えに来て、俺が
俺も雪村から、花は
あいつは他の女に花を渡した事があったとしても、意味なんて無い。
絶対に何も考えずに渡している。
しかしあくまでそれは俺の予想だ。確証が欲しい。
「そういえば雪村、前にたんぽぽの花言葉も教えてくれたわね。雪村はどなたかに、お花を贈ったことがあるの?」
遠回しを
俺を見てきょとんとした後、少しばかり苦笑ぎみに
「
……え? そうなの?
つい先日『桜姫』になったばかりの俺には、
だが、たんぽぽの花言葉なら もうひとつ意味がある。
「たんぽぽって「真心の愛」って意味もあるのでしょう?」
そう突っ込んだ後の雪村が、激しく
頬を
でもこの『自分でも気づいていなかった気持ちに気づいて動揺してる』って感じが、乙女ゲームっぽくて良くないか?
わはは! やっと雪村恋愛イベント其の二【たんぽぽの花冠】が発生したぞ!!
一番最初の雪村恋愛イベント【
それにちゃんと
だって小さい頃の、思い出の花冠だぞ!?
俺、今まで乙女ゲームのどこら
野郎どもの心の
動揺している雪村を
あいつはちゃんと桜姫の事が好き、だろう、たぶん!
もう少し頑張ってみようかな!
俺は元気に邸に向けて歩き出した。
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