第2話

 2021年6月

 金曜日。俺が地下室を掃除していたとき、妻の海子は1階で海子の弟の郡司と会話していた。娘の寛子が地下に降りてきたとき、俺は「ここに父さんがいることは誰にも言わないように」と彼女に言い聞かせた。郡司が家の中を捜索したところ、俺は隣人の車を奪って逃走した。


 郡司は同僚の逗子巡査部長や豊前警部補、永倉と共に虹岡プルートの行方を追った。

 プルートは江口圭一と瀬戸徹也と協力して銀行強盗をはたらいた容疑で追われていたのである。一行が雲仙市に住んでるプルートの親友、根津平太の家を訪ねたところ、彼は既に殺された後だった。ナイフで首を切られていた。

 捜査方針をめぐる対立が生じたため、郡司は単独でプルートを追うことにした。その頃、プルートは森の中で江口の妻、芽郁と落ち合っており、奪った金を車に積んでいた。プルートが車に乗り込もうとしたとき背後から覆面男が現れ、ゴルフクラブで殴られた。


 木曜日、郡司は同僚たちと共に瀬戸の行方を追っていた。瀬戸は火曜日に発生した銀行強盗事件でドライバーを務めていたのである。ところが、瀬戸は何者かの手によって首を切られ殺されており、捜査はまた振り出しに戻ってしまった。

 頭を抱える郡司だったが、悩みの種はもう一つあった。それは兄のプルートが汚職を下との噂が流れていることであった。かつて、瀬戸と江口は麻薬の製造を行っており、爆発事故で江口の息子が亡くなるという事件が発生した。2人は告訴されたが、よく分からない理由で身柄を釈放された。このとき、裁判を行ったのはプルートであった。


 人々はプルートが2人から賄賂を受け取ったのではないかと噂していた。


 その後、郡司は逗子、豊前、永倉と一緒に芽郁の元を訪れた。芽郁は4人に「江口がここに来て一緒に逃げろと言った。私が断ったところ、江口は殴りつけてきた。あの人は韓国へ逃げると言っていた」と告げた。しかし、芽郁がその証拠として見せた傷は彼女自身が付けたものだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る