第4話「失恋」
私は泣きながらその場をあとにして、走って家に帰った。
来るときに乗ってきた伯爵家の馬車は、なくなっていた。
雨が降ってきてドレスに染みを作ったが、こんなドレス、もう二度と着ることはないのでどうでも良かった。
私の帰りが早いことを両親は心配していたが、私は彼らに何も言わずに自室に入り、中から鍵をかけた。
ドレスを破るように脱いで、ベッドにダイブした。
そのまま一晩中泣いた。
悔しくて、悲しくて、辛くて……消えてしまいたかった。
☆
私が彼から離れた四つ目の理由、彼に人を見る目がなかったから。
一晩中泣いてそのまま寝てしまった。
昼過ぎに、お母様がチキンスープを作ってきてくれた。
私はリボンとドレスをゴミ箱に捨て、メイクを落としお風呂に入った。
お風呂から上がるとお母様がレモングラス入りのハーブティーを入れてくれた。
それを飲んだら少し気持ちが落ち着いた。
コニーは幼馴染の私の言葉より、嘘つきで、男に媚びるのが好きで、下位貴族の子女をいびるのが趣味なグリゼルダを信じた。
あんな女と婚約するなんてコニーは見る目がない。
でも……グリゼルダは美人でナイスバディでお金持ちだ。
コニーが彼女の魅力にメロメロになり、彼女の言葉を鵜呑みにしまった気持ちも分かる。
パーティーで起こった事を両親に話すと、彼らは「二度とナヨタ子爵家とは関わらなくていい!!」と言ってくれた。
私とコニーの関係がどうなろうと、親同士の交流は続いていくと思っていた。
でも今回のことは温厚な両親の逆鱗に触れたらしい。
我が家とナヨタ子爵家の縁はその日を限りに、永久に切れることになった。
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