第3話「傷心」
「パーティーで着るドレスをどこに注文したのか、誰にデザインさせたのかやたらと尋ねてくるのでおかしいと思っていたのですが、こういうことでしたのね。
アリーゼ様、ご自分のなさっていることを恥ずかしくないとは思わないのかしら?」
グリゼルダがわざとらしく悲しげな表情を作り、そう言った。
私がグリゼルダのドレスのデザインをパクったっていうの?!
冗談じゃないわ!
誰がこんな胸元が大きく開いた下品なデザインのドレスを、好き好んで注文するものですか!
「ドレスだけじゃない、僕や父や母への誕生日プレゼントもグリゼルダに相談して、彼女のアイデアを盗んでいたことはわかっているんだ!
グリゼルダがプレゼントしてくれた物と同じデザインの万年筆や望遠鏡や手鏡が、君の名前でうちに届いたよ!」
コニーやコニーの両親の誕生日が近づくと、グリゼルダにプレゼントの相談をされていた。
彼女は私のアイデアをパクって、コニーやコニーの両親にプレゼントを贈っていたのだ。
「違うわコニー!
私の話を聞いて!」
「何が違うんだ!
君の今のその格好が何よりの証拠だ!」
コニーからの叱責と同時に、会場中から冷ややかな視線を浴びた。
「グリゼルダの熱狂的な信者なのかしら?」「気持ち悪い」「下位貴族のくせに生意気な」「悪質なストーカーだな」
会場から嫌な囁きが聞こえる。
ここに私の味方はいない。
「アリーゼ・クルツ!
今日限り君との縁を切る!
僕は君を幼馴染だとは思わない!
二度と僕に話しかけるな!」
「コニー……そんな」
「もう君は僕の幼馴染じゃないんだ!
気安く名前で呼ばないでくれ!」
「そんなに冷たくしたらかわいそうよ、コニー」
「いいんだグリゼルダ。
君のアイデアを盗む最低の女とは縁を切りたい。
それが君と婚約者としての最低限のけじめさ」
「ありがとう、コニー。
嬉しいわ」
「婚約……?
二人は婚約するの?」
「まだいたのかアリーゼ!
僕とグリゼルダは婚約するんじゃない、婚約したんだ!
来週には婚約披露パーティーを開く!
君は招待しないけどね!
親同士が仲良しだから子供の頃は僕たち二人を結婚させようと言う話もあったが、君は中等部に入ってから我が家で開くパーティーをドタキャンしてばかりだ!
年頃になったら僕と婚約出来ると信じて自惚れていたんだろ?
だからナヨタ子爵家を軽んじていたんだ! そうだろう?
我が家を軽んじるような女は幼馴染としても友人としても失格だ!
分かったら二度とうちの敷居を跨がないでくれ!!」
私が彼から離れた三つ目の理由、コニーからの拒絶。
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