第44話 寝る時間まで
俺も風呂に入り終わって、神奈が待っているリビングに行く。神奈はソファで足を投げ出して座っていた。あぁもう危ない。下着見えそうなんだってば。
「佐々木、そういえば今日寝る部屋なんだけどさ」
「うん」
「空いてる部屋が1個あるから、そこで寝てもらえないかなって。来客用の布団も引いてあるし」
「ソファとかじゃなくていいの?」
「いや、そんなこと女の子にさせられないじゃん。それに、俺の使ってるベッドで寝てもらうわけにもいかないし」
「そっか……うん」
神奈は不思議そうな顔をした。なんで自分がそんなところで寝ていいの? とでも言いたげな。
なんていうか、自己肯定感みたいなもの低すぎないか?
こっちに来てからは明るい部分しか見てないから、違和感というか……
「佐々木はいつも何時くらいに寝てるの……?」
「何時っていうか、いつも気づいたら寝てる」
「あっ、そうなんだ。寝落ちしてる感じ?」
「寝落ちっていうか、別に何かしてるわけじゃないんだけど、気づいたら寝てる、みたいな……」
「なるほど……」
えーっと神奈、思ったより闇深くない? 気を許してくれてるのか、それとももう取り繕う元気もないのか分からないけど、垣間見える闇がとにかく深すぎる。
「あ、そうだ。今日は何時に寝る?」
「別に何時でも……」
「俺は深夜12時くらいなんだよね。だからそれくらいでも、大丈夫、かな?」
「うん。分かった」
今の時刻がちょうど午後9時だ。だから、寝るまであと3時間くらい。
さて……
「何する?」
「何でもいい」
家にクラスメイトの美少女を連れ込んで、暇な時間にするべきことを誰か教えてくださいプリーズ。
「テレビ、何やってるかな……」
とりあえず俺はリモコンを手にした。つけたチャンネルによっては好きな芸能人とかの話もできるし、話題にも困らないと思ったのだ。
で、つけた瞬間――
わりとディープなキスシーンが流れた。思わず動揺してテレビをすぐに消してしまう。
おそるおそる神奈の顔を見ると、普通に無表情だった。あれ、もしかしてテンパってるの俺だけ?
てか、あんなに動揺したら童貞なの即バレじゃね? この体がそうなのかは知らんが……こう、精神的童貞なのが。
「あっ、はは。びっ、びっくりした……ははは。お、俺ああいうドラマちょっと苦手でさ〜」
……誤魔化せたか!?
「そうなんだ」
うん、と神妙な顔で神奈は頷いた。
いやこれどっち!? てか、どういう気持ちの顔なのそれ?
己の犯した失敗に半ば絶望しつつ、新たな何かを考える。
でもこの家にそもそも何があったのかまだしっかりとは把握できてないし、あまり思いつかない。錦小路はそういうのに無頓着だったみたいだし。
「やっぱテレビつけるか……」
絞り出したような俺の声に、神奈はやっぱり頷いた。
☆☆☆あとがき☆☆☆
少し気になったのでお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか……?(既に聞いている)
この作品の登場人物で、気に入った人とかいますか……?
コメント欄などで教えていただけると嬉しいです!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます