ー告白ー9
ゴーも大人だ。 ある程度のことは分かるだろう。
「悩みがあるんですか?」
何気ないゴーの言葉に更に春の鼓動が高鳴ってるのかもしれない。
「ないない! 大丈夫だからね!」
そう慌てて言い立ち上がるとゴーから離れる春。
「今日の春さん、おかしくないですか?」
「おかしくは……ないから大丈夫だよ!」
とりあえず今の空気を何とかしたい春なのだが、その術がないようにも思える。 春は必死に流れを変えようと辺りを見回し始めるが春の今の状況とは正反対に何もない。 確かに、それは先程から分かっていた筈だ。
「確かに春さんにとって僕は未熟者かもしれませんけどー、相談出来ることは僕に相談して欲しいかなって思っただけですから」
そう真剣な瞳をしてゴーは春の瞳を覗いてくる。
春は少し冷静になると、このスタジオ内が見えて来たようだ。 ここはスタジオってこともあってか部屋内にはマスコミや他の人達の出入りはない。
防音設備もしっかりしているから少しの会話でも外に漏れることはないだろう。 もしかしたら今は逆にチャンスじゃないのであろうか。
……試してみる?
そう春の心の中でもう一人の自分が問い掛けて来る。
「あのさ……ゴー君なら、自分に好きな人が出来たら、どうすんの?」
勇気を出して聞こうと思ったのだが、春の口から出た言葉というのは最初に聞いてみようと思った言葉とは、どうやら違ったようだ。 やはりそんな事ストレートには聞くことなんて出来なかったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます