ー告白ー5

「僕はコーヒーで……。 あ、いいよ……僕は僕で自分で買って来るし」


 「君はそこで待っていて」と語尾に付け加えると春は自分のコーヒーを買いに行くのだ。


 どうやらゴーは春にお茶の一杯でもと思ったのだが、春はどうも年下であるゴーに奢らせたくないようなのであろう。


 春はコーヒーを買って来てゴーの前へと座る。


 本当に不思議な感じだ。 いつもならメンバーとスタジオが終わった後に寄る喫茶店。 それなのに今、目の前に居るのはあの有名な歌手のゴー。 事務所も違うのにこんなにも会っていて大丈夫なのかと思う。


「やっぱり、春さんは煙草吸われないんですね」

「ああ、そうだね。 ボーカルだから、基本、喉痛めちゃいけないし、今まで煙草に巡り合うことはなかったから」

「僕もそうしてます。 そりゃ、学生の頃は吸ってましたけどー、完全にハマる前に止めましたからね」

「うん! 煙草は吸わない方がいいよ。 本当に喉痛めるから、よくないし、まだまだ歌を続けたいんなら、吸わない方がいいしね」

「ですよねー。 僕も気を付けないとー!」


 色々と二人で話をしていると、いつの間にか時間になっていて春は腕時計で時間を確かめる。


「じゃ、そろそろ時間だし、行こうか?」

「はい!」


 そう若者らしく元気よく返事をするゴー。 そんな姿さえも春にとって可愛くて仕方がない。 ゴーは春より年下なのだから余計に可愛く感じているのであろう。


 飲み終えたコーヒーのカップをカウンターに戻し予約したスタジオに向かう二人。

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