ー出会いー10

 スタジオに入っている間は指定のロッカーへと荷物を入れている為、携帯でさえ今はロッカーの中だ。 確かに気にはなるが今はこっちに集中しなければならない。


 春達は本番を録り終えると今日一日が終わる。 お昼から六時間も掛かったのだが今はまだ夕方。 まだ何となく帰るのはもったいないのではないだろうか。


 春は収録後に何故だか足早にロッカールームへと向かう。 そして手にしたのは携帯。 そこには珍しくメール一件の文字。


 携帯を覗くと、そのメールの相手は昨日会ったばかりのゴーからだった。


『あれ? 今日はまだ仕事かな? 昨日からメールが来てなかったから、メールしてみました。 迷惑だったらスイマセン。 今日、八時頃から予定が空いたので、一緒に食事でもどうかな? って思いましてね……空いてますか?』


 春がゴーからメールが届いた時刻を見るとメールが届いた時間はついさっき……急いで、春は返事をする。


『ああ、空いてるよ。 僕も今さっきスタジオで録りが終わったばっかりだからさ……八時にどこ?』


 せっかく今回は春から先に食事に誘おうと思っていたのに何故か春が思っていることを先に先にとやってくれてしまうゴー。 何だか悔しい気持ちもある。 今度こそは春からゴーを誘おうと心に決めるのだった。


 しばらくしてメールの返事が返って来る。


『じゃ、人気がない所で……』


 このメールの文章でまたまた勘違いしそうだ。 だがそこは一呼吸すると、冷静になって、


『人気がないとこ……って?』

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