　春がそう呟いた途端に部屋中にやかんが湯を沸かした音が響き渡るのだ。

　その音に体をビクッと震わせ春は慌てて火を止めに行く。

　春は一つ溜め息を吐くとコーヒーを作り、またテーブルへと戻って行き再度コーヒーを啜りながら考えるのだった。

　確かに二人でだけで会うのはチャンスなのだけど、本当にゴーは春と同じ考え方だとはまだ分からない所だ。　自分だけがそう思って勘違いだったら恥かしくもあってショックな事になりかねない。

　こういう事って相手にどう確かめたらいいのか分からないというのが正直な所だろう。　ましてや男だ。　本気で自分のことを想っているハズがない。　それに春はボーカルでゴーと同じ立場なのだから、ただ単にレッスンして欲しいと言ってきたのかもしれない。

　益々、昨夜のゴーからのメールは春の頭を悩ます。

　春は携帯の画面を眺めたままコーヒーを啜り続けるだけだった。

　春は少し悩んだ挙げ句、春はゴーに少しずつ歩み寄ることにしたようだ。

　もし今日ゴーに仕事が終わってから暇があるとしたら食事に誘おう。　まずは相手のことを詳しく知ってからでも遅くはないだろう。

　春はそう決めるとゴーにメールを打ち始める。　だが何故かそれを邪魔するかのようにメールが来ていることを携帯の画面の上で知らせてくる。

　春の性格上、例えメールの途中であっても来たメールの方を優先してしまう。

　今書いていたメールを一旦、保存して来たメールを確認するのだ。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい