ー出会いー7

 春は意識してしまうのか普通の話しか出来なかった。 流石に春がゴーに想いを寄せているような文面は書けない。


『明日も仕事です。 僕達は暇があまりないんですよねー。 だから、大変でして……』


 そりゃ、そうだろう。 売れっ子なのだから。


『そうですか……では、明日も頑張って下さいね。 それでは時間も時間ですし、おやすみなさい』


 そう春はメールを返すとイスから立ち上がりシャワールームへと向かう。


 春がシャワーから戻って来ると再び携帯が点滅しているのが目に入ってくるのだ。


『では、おやすみなさい。 今度、春さんのような素敵な声が出るようにレッスンして頂けると嬉しいです』


 本日最後のメールにはそう書いてあった。


「レッスンかぁー、こんな僕でいいのかな? 僕だって、まだ、未熟者だし……まぁ、いいチャンスといえばチャンスなんだろうけどな」


 春は夜遅いこともあってかメールはそのまま返信せずにテーブルの上で充電をさせてからベッドの上に横になる。




 次の日。 目覚まし時計で目が覚める春。 昨日、携帯を置いておいたテーブルに向かうのだ。 携帯を開き、朝コーヒーを飲む為にガスコンロの上にヤカンを置く。 そして湯が沸くまで昨日のメールを返信をしようとするのだが手が止まってしまったようだ。


 返信する為に覗いたゴーからのメールの文章。


『レッスンしていただけないでしょうか?』このメールまさか……とは思ってしまう。 そう春のことを誘っているようにも読めてしまうのだから。 だから今の春というのはいいように取るとそう考えてしまう。


 昨日、確か……春のメンバーが居たのにも関わらず、ゴーは春にだけにしかメルアドを聞いて来なかった。 そのことを不思議に思う春。


「……ってことは……僕もゴーのことが気になっていて、ゴーも僕のことが……気になっているって事なのかな?」

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