第8話 ソフィア?

「何をあげれば、ソフィアは喜んでくれるのだろうか?」


 この世界では12月になってきていて息を吐くと、すっかり冬になったのか白い息が空中へと吐かれて消える。


 寒い体を両腕で抱いて摩りながら、屋敷を出て街を探索していた。


 ちなむと隣にソフィアはいない。何故かというと、ソフィアの誕生日プレゼントを選ぼうとしているからである。


 ソフィアの誕生日は12月25日であり、前世?ではクリスマスというイベントがあったけれど、この世界ではクリスマスといったイベントは無い。


 この世界ではクリスマスや節分、バレンタインといったイベントは無いが、この国の英雄が攻めてきたドラゴンを倒した日とかはあったりして、その日は王都で祭りが開かれるみたいだ。


 元旦とか国王誕生日とか建国記念日とかは日本と同じように祝日になっていたりもするけれどね。


 さて、話を戻そう。


 ソフィアとは順調に仲を深めていっていて今のところソフィアの治療?は順調であると言える。


 最近は、薄っすらと化粧をして俺に見せてくれたけれど可愛すぎてまともに見れなかった。


 俺が顔を反らすのであんまり似合っていなかったんじゃないかって、そう勘違いしそうになっていたので慌てて訂正を入れて可愛いくて見れなかったと正直に話すとこれまた可愛く照れていたので僕は胸を押さえて蹲った所に心配そうに俺を見つめてくれるので、その顔もまた可愛くて...........と可愛いの無限コンボを食らうくらいにはソフィアは可愛くなっている。


 元から可愛いのはそうだったけれど、今はさらに磨きがかかっているというか。


 そんな風にソフィアとの関係も順調に回復しつつある今日この頃だけれど、ソフィアの好きなもの、これが未だに分からない。


 ソフィアはこれが欲しいだとか、あれが欲しいとかの我儘を一切言わない子(というか我儘を言わない子にならざる終えなかった)なので何を買えばいいのか分からないのだ。


 一番最初にあげたぬいぐるみたちは未だに大事にしてくれているみたいで、この前ソフィアの部屋の扉が開いていたので悪いと思いつつ覗いてみると、ベッドの上に座りながらぬいぐるみと向き合って頭を撫でてあげたりぎゅっとしてあげたり柔らかく微笑んだりと思わず僕がソフィアを抱きしめたくなるほど愛くるしいことをしていたけれど、またぬいぐるみを送るのは少し華がないような気もするので一旦保留にしている形だ。


 うーん、思いつかない。


 こういう時は前世の知識をフル活用するとするか。


 前世では家族へは何を送っていたっけ?確か...........あぁダメだ。うちの妹は根っからのゲーマーだったからプリペイドカードかギフトカードを買っていたためまるであてにならない。


 母さんとか父さんの誕生日は基本何か食べ物を送っていたけれどそれも何か違うような気がする。出来るだけ残るようなものにしたいって思っているし。


 家族ではなく、友人もしくは恋人に送るプレゼントで考えてみるか。


 類は友を呼ぶということわざがあるように俺の友達関係はゲームをする仲間が多かったために、妹同様プリペイドカードや推しのB2タペストリーを買ってあげるとかそんなものだったため、これまた参考にならない。


 恋人に送るプレゼント……今までまともに女性と付き合ったことはないのでネットにあった知識や友達からの話で代用するとしよう。


 友達は、彼女に化粧品の類とか、ネックレスとかをあげていたような...........ん?ネックレス?


 ネックレスかぁ。いいな、それ。


 きっとネックレスを付けたソフィアは今以上に可愛いような気がする。色々な服に合わせられるデザインのものにすればソフィアが常に身に着けてくれると思うと嬉しくなる。


 よし、そうしよう。


 折角だし、ソフィアだけのオリジナルのネックレスをあげたいから特注しようかな。この家はお金に困っていないし。


 最悪、俺はかなり強いから冒険者にでもなって稼げばいいので、ソフィアを喜ばせることにお金を出し渋ることはしない。


 よし、プレゼントするものも決まったし一度家に戻るとするか。


 ソフィアと今日は何を話そうか考えながら家へと戻り、ソフィアの部屋をノックすると...........


「お、お帰りなさい。お兄様」

「ただいま……ソフィア。どうかしたの?浮かない顔して」

「い、いえ、な、何でもないのです。気になさらないでください」


 ソフィアの顔は明らかに浮かない顔をしている。


 俺が家にいない間に何かあったのだろうか?それと何か個人的な悩みだったりするのか?


「あ、あの...........お兄様。その...........」

「どうしたの?」


 ソフィアは何かを言おうとして躊躇って、でも言わなきゃいけないという葛藤をしているのが容易にわかる顔をしていた。


「い、いえ、やはり何でもないです」

「……そっか。それより、外はすっかり寒いね。凍えそうなほどだったよ」

「……そうですね。私も夜はぬいぐるみさんたちと一緒でなければ寝られないほど寒いです」


 本当は聞きたかったけれど、ソフィアが言わないと決断をしたのならばそれを尊重しよう。


 俺は別の話題を持ち掛け話をそらした。


 


 


 


 


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