第7話 もうすぐ
さて、この世界に転生してからかなり月日がたち、今はもう前世で言うところの12月に差し掛かっていた。
この世界に転生して、二か月半程度経った。
この二か月間、何をしていたのかというと当たり前にソフィアを徹底的に甘やかしていた。
部屋の内装を取り換えてあげたり、化粧道具とかも早いとは思うけれど買ってあげた。ソフィアがしたいと望んだものは何でもしようと思ったけれど、ソフィアは遠慮気味な性格だからか勉強関連の事以外はあまり頼み事はしなかった。
ソフィアはこちらの世界に来て、最初に見たときはかなりやせ細っていたけれど、今では肉付きの良い健康的な体になっていて、肌や髪の毛も思わず触りたくなってしまうほどの艶が出ている。
もしソフィアが日本の歩道を歩けば十人中十五人は振り返るだろうというレベルで可愛いのだ。
勿論、外面的なことも大事だけれど内面的にもかなり良好になっていて来ているように見える。
最近は僕にぎこちないけれど笑顔も見せてくれるようになった。それに魔法の勉強をしているときも素直に教えてくださいと言ってくれるようになったし、前に買った服を着て、
「ど、どうでしょうか?」
とくるりと回って緊張しながらも感想を求めたので可愛いよと返したら頬を染めて嬉しそうにしてくれていた。
可愛すぎてその場で蹲ったら、ものすごく心配されたけれど。
真っ黒で濁り切っていてすべてがどうでもいいような目つきではなく、段々と色を映す瞳になってきていると思う。
あくまで僕が見た限りはだけれど。ソフィアが内心どう思っているのかなんて全く分からないし。
このまま上手くいってくれればきっと入学までには正常な心の病んでいないソフィアになっているはず。
そうすれば晴れて俺の役目は終わりかな。
あとは主人公君とソフィアが結ばれるようにしてあげればソフィアは幸せになれるし、他のヒロインも死なずに済む。
そもそもソフィアが病んでいなければ他のヒロインが死ぬことはないんだけれどね。
ソフィアが主人公とくっついた後、俺はなにしようかな。
他のヒロインと話しては見たいけれど、実際には付き合ってみたいとは思わないからなぁ。
あんな可愛い子たちと俺とじゃ釣り合わないって思っちゃう。
このリアムの顔面偏差値ならば十分に釣り合いが取れているけれど、未だにこの体は俺のであって俺のものではないって感じが強いから、元の俺の顔を想像しちゃってこの人たちにはもっといい人がいるから俺ではダメだなって思ってしまうだろうな。
やっぱりこの世界には魔法があるし、こいつの魔法の才能も凄いから魔法研究をしてみるのも良さそうだな。
世界一周もしてみたいけれど、僕はこの家の次期当主だから学園を卒業したらここを離れるわけにもいかないし。
まぁ学園に通いながらのんびりとそこら辺は考えるとしますか。
「どうしたんですか、お兄様。何かお考え事ですか?」
今までのこと、これからのことを考えて少しの間黙っているとソフィアがそう聞いてきた。
今はソフィアの部屋で二人、紅茶を飲みつつゆっくりしている所だった。
「ん?あぁ、学園に入るのもあとちょっとだなって考えていただけ」
「そうですね。来年の五月には学園生活がスタートしますね。少し不安ですけれど、少し楽しみでもありますね」
「そうなの?」
「はい」
「どうして?」
ソフィアから学園が楽しみという言葉を聞いて、思わず聞き返してしまった。
「それは……な、内緒です」
「内緒かぁ……ならしょうがないかな」
もしかしたら、俺と一緒に学園に通うのが楽しみって思ってくれているのかもしれないそう思ったけれど、俺がこの世界に転生?してからのリアムはソフィアに対して何もしてないとはいえ、それまでのことがなかったことになる訳じゃないからその可能性はあまり高くない気がする。
多分、この息苦しい家から出られて寮生活になるという理由や新しく友達ができるかもしれないというわくわくから来るものだと思うけれど、俺と一緒に通うのが楽しみって少しでも思ってくれていたら嬉しいな。
まぁ、学園生活の前に来月ビックイベントがある。
12月25日。
ソフィアの誕生日である。
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