第2話
数日後、事務所の一室。
「ハルキ、お前は何をやってるんだ。今回の任務を理解してなかったのか?」
「いいえ。ちゃんとわかってますよ、ツノダさん。だからうちが人気があるんでしょうよ」
「そうなんだよ、なんでうちがトップレベルなのかさっぱりわからんよ」
そう言ってツノダは頭を抱えている。
「あんたのチームでしょうよ。よ、やるねプロデューサー!」
「うるさいよ、俺が始めたときはもっとまともなことやってたよ? 真面目なイレイサー集団だったよ? どうしてこうなっちゃったんだろ」
「それが今じゃあこの世界では名の売れた名プロデューサー。てかツノダさん、あんたもこのチームの一員なんだからちゃんと関わってくださいよ」
「ホント困ってんだよ、この手のイレイス指令がガンガンうちに回ってくるんだよ」
と、再度頭を抱える。
「それにお前、あれ。今回の鎧、あれどうすんだよ、鎧ごと消えてなくなりましたってどう報告すんだよ、依頼主はオーフィア帝国の軍閥貴族なんだぞ」
「じゃあどうしろって言うんです? 前のバディもあれに殺られてんすよ、あのままだったら俺らもあの鎧に食われてましたよ。依頼主にはそもそもなかった、偽物でしたって言えばいいじゃないすか」
「それしかないよなあ。まあ千二百年も前のジンスレールの乱で初代皇帝が着けてた鎧なんて誰も存在するなんて思わないよなあ」
「んじゃま、その辺はお任せなんで、よろしくです」
「お前なあ、もっと真面目に仕事に取り組めないの? この世界にはな、過去の『遺物』が存在するの。魔道具だったり武器や防具だったりな。んで稀にその中に「ある」者が憑りついてる。俺らイレイサーの仕事はな、この憑りついている者の存在を消して、「憑りつかれている遺物」を「通常の遺物」に戻すことなの。お前、理解してる? 俺の言う事はお前には届かないの?」
「いいええ、そんなことありませんよ、ガンガン胸に響いてますって。んで? 次の指令は? 次は何を消すんです?」
「ああ。次はイハインに行ってもらう」
「イハインって事は…… グネトラス考古学博物館? ああ、動くミイラすか? あれガセでしょ? なんで俺らが動くんです?」
「ちょっと気になることがあってな。ま、ガセならガセで構わないんだが一応調べてみてくれ」
「へいへい、わかりましたよ。行きますよ、行きゃあいんでしょ」
こうしてハルキとニッタのバディは帝都から北東五百キロにある小都市イハインに向かった。
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