第67話 マリアとの再会?

ラッキーとシルフィーとリルは、リスボンの街を離れてフロンダールの街へとやってきていた。


フロンダールはリスボンと王都の間にある街だ。今回フロンダールにやってきたのは、マリアが助けてほしい。という手紙をシルフィーに送ってきたからだ。


そして今、ラッキー達はマリアの家に来ていた。家に入ると、待つ事なくマリアが階段をドタドタと降りてきた。


「ラッキー様!?」


「マリア。久しぶりだね。え~っとその恰好は・・・。」


「えっ・・・キャー!」


マリアは部屋で療養していたので、いつもの寝間着、かわいらしいパジャマ姿のまま屋敷の玄関にきていた。ラッキーに言われてその事に気付き顔を赤らめたまま、階段をドタドタと駆け上がっていった。


「あんな恰好で出てくるなんて・・・よっぽどラッキーに会いたかったのね。」


「どうだろ?シルフィーが来たからじゃないのか?」


「まさか!?だってラッキー様って言って私の事は一言もでなかったわ。もしかして私が来た事は気づいてないのかも。」


「さすがにそれはないと思うけどな。」


『ラッキーはモテモテなんだぞ。』


ラッキー達はマリアが階段を上がって行ったのでどうすれば良いのか玄関口で待っていた。すると、執事っぽい人が現れた。


「ようこそおいで下さいました。マリア様は只今準備しておりますのでどうぞこちらへ。」


執事に案内されてラッキー達は部屋に入る。ソファーで、執事の入れてくれたお茶を飲みながらマリアが来るのを待っていると、


コンコンという音とともにマリアが部屋に入ってきた。


「お久しぶりです。ラッキー様。それとシルフィー。先ほどは取り乱してごめんなさい。来てくれてうれしいわ。」


「久しぶりねマリア。ラッキーも一緒だったけど構わないわよね。」


「マリア。久しぶり。シルフィーからマリアが困ってるって聞いたんだ。大丈夫なのか?」


「はい。その色々ありまして・・・。」


「ラッキー。とりあえず座って話しましょ。マリアは病人なのよ?」


「あっごめんごめん。そうだな。」


「シルフィー・・・。ありがとう。でもそうね。ゆっくり話しましょ。」


それからはお互いの事を話した。


ラッキーは、天職の儀でゼンパンの素質を授かり家を追放された後、辺境のリスボンに行き冒険者になってシルフィーと出会った事、シルフィーにマリアから手紙が来て困ってる事を知って一緒にフロンダールに来た事を話した。


シルフィーは、天職の儀で森の魔導士を授かって、貴族令嬢ではなく、自由に生きたいと思い、親と交渉してダンジョンを攻略すれば自由にしてもかまわない。と言われた事。その為に冒険者になり、ラッキーと出会い一緒にダンジョンを攻略して自由になった事を話した。


マリアは、天職の儀で聖女の素質を授かって、ラッキーが追放され、婚約が破棄された事を伝えられる。そしてすぐに、新しい婚約者が出来た事を伝えられた。


新しい婚約者のメルトは見た目、噂、言動と全てがマリアにとって受け入れられないモノだったので聖女の勉強と理由をつけて教会に逃げていたが、メルトが乗り込んできた。その時にはっきりとメルトを拒絶してしまい、そのまま家に逃げてきて今に至る事を話した。


「そんな事があったのね・・・。私はそのメルトって人の事をあまり知らないからなんとも言えないけどそんなに酷いの?」


「どうなんだろ?俺も追放された時にメルトに会っただけだから、その後の事は何も知らないんだよな。」


「そうですね。使用人には横柄な態度で振る舞う。公爵という権力で好き放題しまくるっ噂です。私も最初は噂だからどこまで本当かわかりませんでしたが、会った時に噂は本当なんだと思いました。」


(大丈夫なのか?そんな奴を養子に迎えて。確かにメルトは剣聖の素質を持ってるけど、素行が悪ければ公爵家のイメージも悪くなるだろうに。)


「でも本当に難しい問題ね。家同士の婚約だし、しかも相手は公爵家・・・。どうにか助けてあげたいけど、私にはどうすれば良いかわからないわ。」


「うん・・・」


「マリアが嫌がってる事を伝えてなんとか破棄してもらう事はできないのか?」


「無理よ。相手が自分よりも下の貴族ならありえるかもしれないけど、公爵家よ?下手したらマリアの家が潰されるわ。」


「たしかに・・・。そうだな。」


「わかってるの。家の為には受け入れなきゃいけないって言うのは・・・。父様にも迷惑かけてるし。」


「マリア・・・。」


(くそ!何かマリアを助ける方法はないのか。元はと言えば俺が追放されたからマリアがこんな目に合ってるんだぞ。俺が直接家にお願いしに行くか?いや。門前払いがいいとこか。くそ!!)


3人がどよ〜んとした空気の中、マリアが気を使って話題を変えた。


「そうだ!今日はラッキー様もシルフィーもここで食事していってよ。父様も母様も2人には会いたがってると思うから。」


「そうね。」「ああ。」


せっかく再会したのにどうする事も出来なかったラッキーとシルフィーは、その後、マリアとしばらく雑談して、食事までの時間を過ごした。


ラッキーはその間もどうすればマリアを助ける事ができるかひっしに考えるのだった。

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