第66話 準備を整えてフロンダールへ

ラッキーはリスボンを離れて、フロンダールへ向かう為に、今までお世話になった人へあいさつ回りをしていた。


今はギルドにいるライアン教官に挨拶していた。


「ライアン教官、俺リスボンを離れる事にしました。」


「そうか。まあ冒険者は自由だからな。一か所に留まらないのはよくある事だ。だがラッキーよ。どこにいても剣の鍛錬はできる。さぼるなよ。ずっと冒険者でやっていくなら毎日の積み重ねがお前を支えてくれる。」


「はい。ありがとうございます。俺・・・がんばります。」


「うむ。最後に稽古をつけてやろう。」


「はい。」


ラッキーはライアン教官と久しぶりに剣で語り合った。講習を受けた頃からほぼ毎日剣の鍛錬は続けていた。そしてレベルも上がり能力も上がった。だが、ラッキーの剣ははじめと同じでライアン教官には全く通じなかった。


「はーはーはーはー。やっぱり教官は強いですね。俺も毎日鍛錬してるのに全く通用しない。」


「儂だって毎日鍛錬してるからな。それにラッキーよ。お前は着実に強くなっておる。今はまだわからなんかもしれんが、そのうち儂より強くなるだろう。鍛錬をさぼらず続けていればな。」


「はい。今日はありがとうございました。」


ライアン教官と剣の稽古をした後は、解体場へ行きドガンへ挨拶に行った。ダンジョンを攻略してる時は素材を持ってこれなかったが、ダンジョン以外で魔物討伐をしているときは大量に魔物の素材をギルドに持ち込んでいた。


解体場にいるスタッフにはとてもよくしてもらったので、ラッキーはお菓子を持って挨拶に来ていた。


「ドガンさん。今までお世話になりました。俺リスボンを出て他の街にも行ってみようと思います。」


「おう。又戻って来いよ。今度はもっと強い魔物を持ってきて俺を驚かせてくれ。」


「はい。まかせてください。」


解体場を出たラッキーは、ギルドの横にある武器屋に向かった。武器屋のガンテツには冒険者登録をした時から武器を格安で売ってもらい、メンテナンスの大切さを教わり、今の武器も選んでくれた人だった。


『ラッキー。次はどこに行くんだ?』


「次は武器屋だな。」


リルは従魔登録を行っているので、ギルド内でもラッキーと一緒に行動していた。


『わかったんだぞ。それにしてもラッキーは色んな人に慕われているんだな。』


「よくしてくれた人たちなんだ。俺が今ここにいられるのはライアン教官やドガンさん、ナンシーさんやガンテツさん。色んな人が助けてくれたからなんだ。」


そして武器屋に入ったラッキーは、


「ガンテツさん。お久しぶりです。今日はこの街を出ることにしたので挨拶に来ました。」


「そうか・・・。まあダンジョンを攻略したんだもんな。冒険者なら自由に色々行ってみたいわな。でもまあさみしくなるな。」


「はい。ガンテツさんが選んだ武器で俺もっと強くなります。」


「おう。だが、成長したらちゃんとそれに見合った武器に変えるんだぞ。」


「はい。俺が又強くなったら、その時はガンテツさんに新しい武器を選んでもらいに来ます。」


「おう。とっておきを用意して待ってるぞ。」


「はい。」


その後、冒険者仲間のアイン、リスボン辺境伯、宿屋の店主など、ラッキーはかかわった人達にあいさつ回りを終えて、リスボンの街を離れた。


「ちょうど良い護衛依頼があってよかったわね。」


「うん。タイミングもばっちりだったし運がよかったよ。」


「運がいいのはラッキーのおかげね。」


リスボンでフロンダール行きの護衛依頼があったので、ラッキー達はその依頼を受けていた。


フロンダールへの道中は安全そのものだった。主要の街をつなぐ街道はきちんと整備されており、魔物もあまり現れなかった。


護衛など必要なのか?と思うほど順調に旅は進み、気づけばフロンダールへとついていた。


「何もなかったわね。盗賊とか出たら返り討ちにしてやったのに。」


「安全に進めるならそれにこした事はないよ。それよりフロンダールについたな。俺フロンダールにくるのは初めてだ。」


「そうなの?マリアがいるし来た事あると思ってたわ。」


「マリアとは王都で会ってたからな。俺って基本的に王都から出たことなかったから。」


「まあ公爵家の嫡男ならそういうもんか。じゃあ早速マリアの家に行きましょ。私は何度か来た事あるから道案内はまかせて。」


そうして、シルフィーとともに、マリアの家へとフロンダールの街を進んでいく。


『ラッキー!おいしそうなにおいがするんだぞ。』


リルがおいしそうなにおいにつられて屋台に足を進めていく。


「リル。先にマリアに会いに行くんだから買い物は後にするぞ。」


ラッキーがリルを止めるが、屋台の店主が、


「おう。その魔物は坊主の従魔なのか?俺の串焼きに目をつけるとはその狼もなかなかやるな。どうだい?うまいぞ。」


『ラッキー!!この串焼きは絶対うまいんだぞ。』


ラッキーはリルと串焼きやのおっちゃんに負けて串焼きを買った。


「ふふふ。言葉はわからないけどリルが何を言ってたかは私にもわかったわ。ちょうどお腹もすいてきたし串焼きを食べながらマリアの家に向かいましょ。」


「歩きながら食べてもいいのか?貴族の娘だろ?」


「いいのよ。今は冒険者なんだから。」


串焼きを食べながらマリアの家に向かうラッキー達。しばらく歩くとマリアの屋敷が見えてきた。


「あれよ。」


(マリアに会うのも久しぶりだな。元気にして・・・って療養中だったな。大丈夫だろうか・・・。)


ラッキー達は門番にマリアに会いに来た事を伝えた。シルフィーの事をしっていたようでスムーズに屋敷に入ることができた。


そして屋敷の中に入ると・・・


「ラッキー様!!」


マリアが階段をドタドタと降りてくるのだった。

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