第7話 ラッキーのステータスはアンラッキー!?

冒険者ギルドでラッキーとナンシーのやり取りをリアルタイムで見ていた神界では・・・


「ラッキーの冒険者ランクがFランクに上がったみたいね。」


「うん。これで魔物討伐の依頼を受ける事ができるからよかった。魔物を討伐したらモンスターガチャのスキルが使えるようになるし、これで少しはラッキーさんも強くなるかな?」


「そうね。モンスターガチャは10%の確率で素質かアイテムが出るわ。ラッキーの運の良さなら素質を引き当てる可能性は十分あるわね。100体の魔物を倒すのに何日かかるかわからないけど、ゴブリンとかなら今のラッキーでも十分倒せるものね。」


「うん。」


「それにしても人間界の鑑定レベルは低いわね。あれじゃラッキーが冷遇されるのもわかるわ。」


「それは・・・」


マイはラッキーが素質を得て後の事を思い出していた。


「確かに【ゼンパン】の素質が現れたのは初めてだから素質の詳細がわからないのは納得できるわ。でもステータスを見ればラッキーの素質が超激レアなのはわかるはずよ。」


この世界の素質は


ノーマルランクだとステータスが総合で100上昇し、

レアランクだと200。

激レアランクだと300上昇する。


ノーマルランクの素質は、剣術や格闘術、計算術や交渉術といったスキルを1つ覚える素質の事だ。


レアランクの素質は、剣士や騎士、魔法使いや僧侶といった職業の素質の事を言う。職業の素質を得た者は複数のスキルを覚える事ができる。


ノーマルランクの素質で火魔法の素質を授かる人に対してレアランクの魔法使いの素質を授かった人は火魔法と水魔法のスキルが使えるようになる。といった具合だ。


激レアランクの素質は、勇者や剣聖、聖女といった高ランクの職業の素質の事を言う。


例えば勇者の素質を授かったならば、剣術に雷魔法に光魔法と様々なスキルが使えるようになる。


自身の素質がノーマルなのかレアなのか激レアなのかはステータスを鑑定してもらえばすぐにわかるのだ。


そこでラッキーも素質の詳細がわからないので、ステータスを鑑定してもらい素質のランクを測ったのだが・・・


そこで出たラッキーのステータスは・・・


力  :  20

体力 :  18

敏捷 :  15

器用 :  13

魔力 ;  12

運  :  ※■△10


だった。


「運の数値の上限は99だから仕方ないよ。私もあんな事になるなんて思ってなかった。」


「まさかステータスが500も上がるとは私も思わなかったわ。そして、それが全て運の数値にいくとはね。軽々上限突破しちゃったから測定できなかったのはしょうがないのかもしれないけど・・・。だけど、注意深く見れば運の数値がおかしいことはわかるはずよ。それなのに、運の数値は10でステータスは全く上昇してません。って・・・」


ステータス鑑定を受けたラッキーのステータスは鑑定士が測定できず、ステータス上昇無しの判定を受けていた。


もちろん、ラッキーは自分のステータスが見れるから、それが間違いだと必死に訴えていたが、その訴えが通る事はなかった。


誰も運が510もあるラッキーのステータスを確認する事ができなかったからだ。


ラッキー自身は天職の儀の光とステータスで自身の素質がすごい事をわかっていたが、周りの目は残酷だった。


虹色の光ったのは気のせいだろう。

素質を授かってもステータスが上がっていないんじゃノーマルランク以下の素質って事だろ。


ラッキーがガチャスキルを使って、すぐに素質を引き当てていれば結果は違ったかもしれないが、デイリーガチャで素質が出る確率は0.3%。300回ガチャを引いて一回素質が出る確率だ。


いくらラッキーの運が上限突破した510とう数値であっても、早々、都合よく素質を引き当てる事は出来なかった。


『パンしか出せない、それも1日に1個だけ。ノーマルランク以下の素質を授かった公爵家の長男ラッキー』


そんな噂が立つのはすぐだった。そして噂は瞬く間に公爵領全体に広がり、王都にまで噂は広まったのだった。その期間は10日というとても短い期間だった。


そして、その噂が広まり、公爵家はラッキーを追放する事を決めたのだった。


「ラッキーさんはずっと前を見て行動してるからきっと大丈夫。」


「そうね。あの性格はラッキーの長所ね。これから素質を増やしていけばステータスもすぐに上昇する。そしたら噂が間違いだったってみんなすぐに気づくわ。」


「うん。」


「それに魔物を倒せばレベルも上がる。運がこれ以上上がるかはわからないけど、超激レアランクの素質を持つラッキーならステータスも一気に上昇する可能性があるわ。始めに運の数値が爆上がりしたのはよくよく考えたら正解かもしれないわね。」


「そうかな?」


「もちろんよ。だって考えて見てよ?レベルが上がった時のステータスの上昇は完全にランダムよ。それに冒険者としてやっていくならダンジョンとかにも行くでしょ。ダンジョンと言えば宝箱。宝箱から出るアイテムは完全運任せだから、ラッキーがダンジョンに行けばメッチャ良いアイテムゲットし放題!!だと思うわよ。」


「うん・・・うん!ラッキーさんならきっと私の【ゼンパン】の素質をうまく使ってくれるよね。」


「もちろんよ。だからミラ!安心してラッキーを見守りなさい。」


「ありがとう姉さん。」


ラッキーがギルドの資料室へとダッシュで向かう姿を見ながら、そう遠くない未来にラッキーが大成する事を信じて、ミラとマイはラッキーを見守るのであった。


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