エピローグ あの騎士のようになりたくて

 ライアは、青空のもと街道を馬と共に旅をしていた。

 《名もなき騎士》の名は、後世の歴史書にも名誉を語り継ぐ騎士物語として、名を記されることはない。

 しかし、スティースリッドが《名もなき騎士》であったことは、ライアの記憶に刻まれている。

 自分の名誉よりも、そこで暮らす人々を守るために自らを犠牲にし、盗賊に身を堕としても、その騎士道精神を貫いた一人の男がいたことを。

 《名もなき騎士》は、今もどこかで誰かのために戦っているに違いない。

 そう思うと、ライアは誇らしく感じた。

 旅をしていると、ふと思う。

 また会えるだろうか。

 この広い世界で、偶然出逢うことなど奇跡に近いことだ。

 だが、いつかきっと……。

 スティーと再び出会うことがあれば、その時は、自分が受けた恩を返そうと心に誓った。

 ライア・エルスリードの旅は、まだ続く。

 彼女は今日もまた、本当の騎士となるべく冒険を求めて旅に出る。

 あの騎士のようになりたくて。

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