第3話 夕暮れの図書室
あのあと私は普通に授業を受け、特に何事もなく放課後をむかえた。
「ちょっと雫、休み時間に怜央と一緒にいたでしょ?大丈夫だった?いじめられたりしてない?」
「もぉ、それ朝も聞いたって。大丈夫、何でもないよ。」
「そう?じゃ、いっか!ところでさ、途中まで一緒に帰ろうよ!」
「あ……ごめん、今日はちょっと用事があって……。先に帰ってて。」
「へぇ〜。わかった、じゃあまた明日ね!雫またねー!」
「うん、またねー!」
夢明ちゃんと別れて、私は図書室に向かった。
夢明ちゃんは美術部に入部が決まっているけど、私は部活は入るつもりがないから、部活体験は全部断っている。
図書室の前で待ち合わせしていたので、私はずっと相手が来るのを待っていた。
しばらくすると、
「おぉ、いたのか。」
玲央くんが図書室に来た。
「うん。」
「じゃ、部活はもう決まったから、本がたくさんある図書室で呪いについて教えてやる。」
今日待ち合わせしたのは、このためだ。
やっぱり、本にいろいろ書いてあったりするのかな
なんて思ってたけど……
「うーん……ないかもな、これ。」
「えぇぇこんなに時間使ったのに……?」
色んな本があったけど、有力な情報はほとんどなかった。
そもそも学校の本でわかるのかなって思ってはいたけど、やっぱ無理だったねハイ。
「今日はもぅ暗くなってきたし、そろそろ帰るか。」
「そうだね。帰ったら私おばあちゃんに色々聞いてみるよ。」
「おぅ。」
私たちはカバンを背負って、図書室を出ようとした。
「怜央くん、今日はありがとう。じゃあn」
「待て。」
私が帰ろうとしたら、怜央くんが止めた。
「え、どうしたの?」
「お前、気づかないのか?」
「え、気づくって……」
「……っ!」
怜央くんの呪いと、気が緩んでいたせいもあって、私は気づいていなかった。
……悪霊がいることに。
怜央くんは、ずっと一点を見つめている。
私も、怜央くんが見ているところを見つめる。
するとそこには……
悪霊の姿があった。
その悪霊は、巫女なら簡単に払える程度の小ささだった。
私は、悪霊に見つからない対処法を知っている。
でも、見つかったときの対処法は知らない。
自分の意志で見つめて、姿まで認識してしまったことに、悪霊が気づかないわけがなかった。
悪霊も、私達のことを見つめている。
目が……あってしまった。
熊と目があったら、熊は襲いかかってくるらしい。
悪霊もまた、同じことをする個体が多い。
私の考えを見透かしたかのように、悪霊が私達に近づいてくる。
小さな悪霊とはいえ、そのするどい爪は、
いとも簡単に私の喉元を切り裂けるのだろう。
こんなとき……私は一体どうすれば……
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