文章から想像して下さい

りゅうこころ

文章から想像して下さい

 子どもが無邪気に戯れるそれとは全く異質、普段は触れることはおろか視認すら許されない剥き出しの地面が、想像を超える速度で露わになっていく。


 万物の捕食者として存在しながら寛容に与え続けてきた母なる大地の衣は、体の震えと共に大きく肢体を現したかと思うと、まるで積み上げた人工物を嘲笑うかの様に広く大きく姿を変えて全てを呑み込む那流と化した。


 その余りにも大きすぎる怒りは祈りや懇願などに全く耳を貸そうともせず、田畑はおろか脈のある無しに関わらず夕の陽を水平線の彼方へ残光ごと引き摺り込んでいくように、差別なく呑み込んで無慈悲に持ち帰っていった。


 残されたのは草原と化した立ち入り禁止区域という無法地帯と、風化されてゆく記憶。


 それでも終わりなき人類の探究心はいつもどこか他人事で、母の力が及ばない重力の外へ向かったかと思えば、小さな瘡蓋の上で互いの正義を信じてまた傷を作っている。


それは祈りの音か、それとも轍か。

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文章から想像して下さい りゅうこころ @harunekokoro

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