青い火
鈴音
空
あの日、空から青い火が落ちてきた。誰もがそれを見ていて、隕石だ。未確認飛行物体だと騒いだ。その数十分後、視界が真っ白に染まって、目が覚めた時に、私たち子供だけを残して、世界は終わった。
天気が良いからと、父と散歩していた。手をぎゅっと握って、あの火を見ていた。その父は、服と、いつも似合っていないのにかっこいいだろ?と、自慢してくるサングラスを残して消えていた。
声は、出なかった。何も理解できなかった。近くを歩いていたおばさんも、きれいなお姉さんもいなくなっていた。リードを握る人がいなくなった犬が、訳も分からず吠えていた。
足に力が入らなくて、その場に崩れ落ちる。ぽたりと、暖かい雫が上から降ってきて、足元はじわりと広がる何かで濡れて。喉の奥から込み上げてくる何かを必死に堪えようとした。でも、体が激しく痙攣して、びちゃびちゃと汚い物が口から溢れて出た。あぁ、お父さんが読んでいた漫画にこんな状況のものがあったなぁ、怖くって、眠れなくなって、お父さんを叱りながらお母さんが布団に誘ってくれたなぁ。
私は、ふらりと立ち上がって、家に帰ろうとした。でも、足が動かなくて、ずるずると引きずった足が鬱陶しく感じた。
家までもう少し、そんな時、大きな爆発音がした。驚いて、そっちを見たら、何台も車がぶつかっていて、その中で大きな火がゆらゆらと光っていた。それは、真っ赤な火だったのに、私はさっきのアレを思い出して、また胃の中身を吐き出してしまった。さっき全部出したと思ったのに、苦くてすっぱいものはどんどん溢れてきた。
視界がぐるぐるして、頭が痛くなった。でも、早く帰らないとって、一生懸命歩いた。でも、家はなかった。
いや、いつもの所に家はあった。二階建ての家は上の部分がぐしゃりと潰れて、真っ赤に染っていた。家の前には、お母さんのエプロンが燃えながら落ちていた。
もう、帰る場所はない。私は、気づいたその瞬間に気を失った。
―
(完了です。後は、持ち帰るだけ)
目が覚めてすぐに聞こえたのは、その一言。私は、きっと悪い宇宙人に殺されるんだ。そう思った次の瞬間、また意識を奪われた。
―
(ハッハッハァ!!!使いやすい!殺せ!もっと!もっとだ!!!)
痛い、痛い、痛い。体が動かない。のに、何度も頭を叩かれるような鈍い痛みだけがする。やめて、その声も出ない。私は、どうなったのだろう。あぁ、お父さんに、お母さんに会いたいなぁ。友達にも会いたい、カレーも食べたい。あぁ、どうし
―
(08番機撃墜!!部隊は壊滅!残存兵は帰還せよ!!)
青い火 鈴音 @mesolem
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