自衛隊を辞めていく人たち

 シリーズ頭の整理


 今回は自衛隊を定年を待たず去っていく人たちについて考えてみたいと思います。去っていく、つまりは退職ですが皆様々な理由があります。①違法行為やコンプライアンスに反して懲戒免職や依願退職する人たち、②集団生活に馴染めず退職する人たち、③入隊前のギャップで退職する人たち、④パワハラなどのハラスメントにより退職する人たち等様々です。

 ①や④についてはある種特殊事例ですのでここでは②と③について考えてみたいと思います。


 まず、②の集団生活に馴染めず退職する人たちですが、この場合は教育隊など入隊直後の教育期間で退職する場合が多いと考えます。その要因としてはやはり教育隊での寮生活でしょう。高校や大学など学生寮で生活してきていた学生なら問題はないでしょうが、特にこれを経験してこなかった学生にとっては完全に未知の世界だと思います。修学旅行の様に同年代の学生と宿泊することはあったかもしれません。しかし、精々1泊か2泊しかしていないと思います。その時は非日常感により興奮していてそこまでストレスを認識していないかもしれません。それが日常になると非常にストレスに感じてしまう人もいます。パーソナルスペースが広い人も非常にストレスを感じるでしょう。

 こういった人たちが退職してしまうのは無理らしからぬことだと思います。首尾よく教育隊を修了し部隊に配属されたとして初任海士では艦艇であれば集団生活の延長ですし、陸上勤務ができたとしても営内に居住が義務付けられていたりと集団生活からは逃れられないと思います。


 次は③の入隊前のギャップにより退職するパターンです。こういった人たちはある程度自衛官として勤務することにある種意識を持って入隊している印象があります。よくある入隊の動機として災害派遣の姿を見て、とか、助けられて憧れたためといったものがあります。この動機自体を否定するつもりはもうとうありません。しかし危ういところがあると思っています。

 そもそもそういった自衛隊の活躍というのは言ってしまえば有事の時です。よく言われることではありますが軍事が暇なときが国は平和なんです。だからといって平和なときに休んでいいかというとそんなことはなく、有事に備え訓練や装備の整備維持などに務める必要があります。むしろそういった日常業務がほとんどです。このような自衛隊の現実に入隊前に抱いていた理想とのギャップに苦しみ辞めていく人もいます。むしろ志高い人ほどその傾向があるのではないでしょうか。


 最近の自衛隊はテレビでの紹介も含めかっこいい部分を全面に押し出している気がします。確かに好印象を抱いてもらうことは大事かと思いますが、それで入隊後の退職者を増やすのは本末転倒な気がします。

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