第3話先輩との距離

先輩と知り合って俺の青春ストーリが始まる...なんて思っていた時もありました...。

知り合った時は、色々と楽しくなるのではと舞い上がっていたが、会話が持たず、気まずいのだ。

「歳が二つ上ってことは、18歳ですか?」

「うん まだ17だけど、今年で18だよ しょうがいるならもう一年留年するのも良いね」

「あはは」

留年とか広げにくい話しないでくれ頼む

「いいよね こういう子 翔みたいで」

男のイケメンの写真を見せてくる

「あはは そうですね」

誰だよその人、良いって何が良いのか俺にはさっぱりだ。

こんな風に、趣味?が合わず、途切れ途切れの会話になる。

そりゃ、知り合ってまもないのだから、そうだと言われればそうなのだろうが、もうすぐ知り合って1ヶ月が経つころだ。

流石に、1ヶ月経って会話が持たないというのは、いかがなものかと、俺は思う。

まぁそれ以外にも気まずいと思う理由はある。

先輩はめっちゃくちゃ距離が近いのだ。

電車で結構席にゆとりがあるにもかかわらず、太ももが密着するぐらい距離を縮め、やたらボディタッチが激しい。

肩を組むとか肩パンなどではなく、何というか触ってくるといった感じなのだ。

それなのに、距離が近い割に会話は続かない。

わかってくれる人がいるかはわからないが、人との会話や距離感に慣れていないボッチの俺には結構辛いのだ。

これが女子の先輩ならいいむしろ、大歓迎だが、男の先輩なのでこの距離感は、余計にきつい。

決して先輩が悪いわけではないし、多分会話が持たないのは俺が悪いのだろう。先輩としてはめちゃくちゃ優しいのだか、どうもこの先輩に対して俺の危険回避センサーが警報を鳴らしている。

別に俺はLGBTに嫌悪とかはない、むしろ当人同士の問題なので、他人がとやかく言うことではないし、自由にやるべきだと思う。百合は良いよな!

だが、それは、あくまで傍観者側であることが前提の話だ。

俺の恋愛対象は女性だし、友達としてなら全然問題ない、むしろなりたいと思う。

そんな気疲れもあり、その日の帰り、先輩の「隣においでよ」という言葉を気づかないふりをして、断ってしまったのだ。

電車内の距離で気づかないわけはない。

もちろん先輩は気づいているのだろう。

そんな罪悪感からか帰り道スマホを落としスマホの操作ができなくなった。

だが俺は少し安心した。

先輩から何かメールが来ていても、壊れたことを理由にできるからだ。


***


この定時制高校は、1学期に一回球技大会がある。

1日使い女子と男子に別れ、1学期はバレーを行う。

ボッチである俺には、苦痛の時間...ではない!幸い俺は、運動神経は良く、運動が好きなタイプのボッチなのだ。

学校の球技大会レベルだから、チームワークというより、個人技がものを言う。

そんなワクワクを胸に体育館に向かっていると、体育館の入り口で先輩を発見した。

気まずいな、謝ったほうがいいのかな あーなんで昨日の俺はあんなことしたんだ!やり直したいが、そんなこと出来るわけもない。

どんどん先輩との距離は近くなる。

俺が悪いんだ腹を括ろう。そう思い先輩の元へ歩いていく。

先輩と目が合い、とりあえず挨拶を交わそうとしたその時、先輩は目を逸らし足早に体育館に入っていった。

まあ そうだよな 先輩の立場なら俺もそうしただろう。

何回か先輩に近づいだが、全て先輩は気づかないふりをして距離を取ってきた。

こんなゴミみたいな後輩とはもう関わりたくないのだろう。

この出来事を境に先輩が卒業するまでの2年間一度も話すことはなかった。


あの時、あの選択を変えることが出来たのなら、俺はどうなっていたのだろう

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