第2話時が経つのは早い

入学式から、約2ヶ月が経ち、6月になっていた。

んー早い早すぎる。

入学式から、最初の授業の自己紹介以外、一切喋らず、周りは完全にグループが出来ており、もう俺が入る余地はない。 2ヶ月が経っていたこの頃には学校に馴れ俺は1人の時間を謳歌していた。

俺は、休み時間になると机に突っ伏して寝たふりをしてクラスメイトの話を盗み聞きするか、本を読んでときどき、ンフッという気持ち悪い笑い声を出すボッチの鑑になっていた。

いや、ほんとキモいな俺。

そんな俺でも、放課後下校時間だけは、1人ではなくなっていた。

2年生の先輩が帰りのバスの中で話しかけてくれたのだ。


【1か月前】

「ねぇ 一緒の高校だよね?」

え?誰?この人見たことないんだけど?怖っ

「えっとー 多分そうですね?」

俺が通う定時制高校は、制服がなく私服登校なので、多分一緒の高校なのだろう

「よかったー違ったらどうしようかと思った」

「あはは」

どう返せば良いのかわからず愛想笑いしかできない

「こっち方面から通う人ってあの学校あんまりいないから、一緒の帰り道って結構嬉しいね」

「そうですね」

「・・・」

「・・・」

なんでだよ 会話終わっちゃったじゃないか。

何を話せばいいんだ?えーと何かないか あっ

「何年生なんですか?」

「ん?あー2年生だよ歳は2つ上だけど」

「そうですか」

「・・・」

「・・・」

だからなんでだよ どうしたらいいんだ?俺がわるいのか?いや、俺がわるいけどさ

そっちから喋りかけてきたんだからもっと何か話題をくれよ!

「一つ質問していい?」

お?なんでもいいから聞いてくれ

「なんですか?」

「ハーフ?」

あーなるうほど、これが聞きたかったのか

まあ そうだよね初対面の人にいきなりハーフって聞きにくいもんな

でも、結構な確率で言われるんだよな。

「いや、純日本人です」

「あっそうなの、ごめんね」

「いえ よく言われるので全然大丈夫ですよ 自分でもそう思いますし、あはは」

俺の顔は、よく外国人と聞かれる程度には、それっぽい顔をしている。

中学時代に久しぶりに、学校に登校すると外国人の転校生がいたんだが、その子との初会話は、「外国人ですか?」だ。

俺が聞いたんじゃない、向こうが聞いてきたのだ。

おかしくないか?まだ、俺が聞くならわかるだが、本場の人が真っ先に聞いてくるなんて、周りのクラスメイトは予想できていたようでクスクスと笑っていたことを覚えている。

「でも、めっちゃ顔かっこいいよね この人に似てる」

と、外国の方のめっちゃイケメンの写真を見せてきた

「いやそんなことないです」

そのときは、ちょうど髪を切ったばかりで少し俺かっこよくねとか、思っていたときだから、まんざらでもなかった。 チョロいな俺

この会話をきっかけに、多少ぎこちないが、会話は続くようになった。

おっとこれは、思っていた理想の学校生活ではないが、これはこれで良いんじゃないか?とか思いながら先輩とは別れ、一人バスに揺られるのだった。

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