土曜の夜は更けていく



【>>5で俺は変わろうと思う Pert8】


170:名前:1

この世界は夢か?


171:名前:恋する名無しさん

そうだよ 実は脳にケーブルを刺されて現実という名のゲームをやっているんだ


172:名前:恋する名無しさん

俺の今食ってるおにぎりも実はデータの集合体なんだよね 多分3GBぐらい


で、どうしたんだ なんかあった?


173:名前:1

友達に家で勉強しようって言われた


夢かな 嬉しすぎて覚めた時が怖いんだけど


174:名前:恋する名無しさん

なんだその青春(激痛)みたいなイベント……うっ(瀕死)


175:名前:恋する名無しさん

イッチも成長したなぁ


176:名前:1

ただ部屋がカレー臭いんだよね あと蟻の巣キットが食卓に飾ってあるんだよね


177:名前:恋する名無しさん


178:名前:恋する名無しさん

スリーアウトってところか……


179:名前:恋する名無しさん

掃除しろ(怒)


180:名前:1

匂いは脱臭、色々片付けるとして……他何かいるかな?

学力的に勉強教える事になると思うんだけど、おすすめの本とかある?


せっかくこんな、一生に一度あるかないかの奇跡のイベントなんだ 

できる限りの事はしたい

 

お願いします、力を貸して下さい――――








「もうこんな時間か……」



本当に、一日が過ぎていくのは早い。

集中していたらなおさら。

気付けば既に土曜日の夜中。



もも『10時頃に行くね〜』


東町一『はい』


もも『大丈夫?』


東町一『大丈夫』


もも『明日は楽しみ〜』

もも『(震えた猫のスタンプ)』


東町一『∧_∧』

東町一『(=^_^=)』


もも『かわいい!』


東町一『・  〇 `↑^q

  ~ (   ▲

     `)』

もも『怖いよ!!』


東町一『aaa matigaeta』

東町一『ごめんなさい 調子に乗りました』



……。

やっべぇ緊張してきた(絶望)。

とりあえずこの土曜日で色々準備したけど。


おかげで1年の頃溜め込んだ貯金がまたまた削られました。

だが後悔はない。

このアロマデュフューザー(水蒸気式のやつ)から、香る匂いに癒やされながら天井を仰ぐ。


……もちろん準備というのは勉強もある。というかそれがほとんど。

なぜなら彼女達に教鞭を取る(何様)必要があるからだ。



もも『勉強って一人で出来ないんだよわたし〜』


東町一『そうなんだ』


もも『すぐ寝ちゃう。それか漫画読みだして終わり』


東町一『それはよくないね』


もも『だから大体はあやのんと一緒にやるんだけど、あやのんも勉強苦手で——』



いやいや。

このメッセージって、切りどころ何処だよ。


延々と終わらなくない?

世界が終わるまで俺は彼女に言葉を送り続けるのか。

……それもアリかもしれん(錯乱)。



もも『あっあやのんに注意された〜 ばいばい!』


東町一『ノシ』


もも『えっ可愛いねそれ ノシ ノシ←あやのんのぶん』



さようなら、と打つのは少し嫌だった。

少しフザケてそれを送れば、そんなメッセージが帰ってくる。


思わず口がゆるんだ。

こういうの、憧れてたんだ。

今の俺キモい顔してるだろうなぁ……。


——ピコン!



詩織『テテテtス』



「……は?」


と思ったら通知が上に出る。

名前は——『詩織』、椛さんだ。



詩織『すいません間違えました』

詩織『すいません間違えたのはさっきの文面という意味で』

詩織『すいません間違えました、すいませんややこしいですね メッセージを送る先を間違えたわけでは——』



「……あ、焦ってるな……」


あのワタワタ状態(鳥)の椛さんが目に浮かぶ。

どうすれば良いんだコレは(混乱)。



詩織『テスト、がんばりましょう』


東町一『頑張ろうね』


詩織『はい、さようなら』


東町一『うん』




と思ったら、そんな簡潔な文。

それで終わる言葉。


そんだけかーい!!!(ズサササササ)。

なんて思わない。彼女なりに考えて送ってきた文字だろうから。

椛さんの気持ちは痛いほどわかる。結局色々考えて全部消しちゃうんだ。

それでどんどん関係が希薄になっていくんだよな(中学の黒歴史)。



……メッセージアプリって奥が深いですね(?)。



――ピコン!



「え」



もも『そういえばいっちってお菓子何が好きなの~? 明後日持っていくよ~』




名前は初音桃。

お菓子、お菓子か……。



――ピコン!




詩織『おやすみなさい ちなみに、得意科目とかありますか


 



図書館好きですか

図書館とか行きますか 

テスト科目で得意とかありますか? 僕は現代文が好きです

図書館で勉強は捗りますね

一君はあれから図書館に行きましたか』





「ひぇ……(恐怖)」



現れる長文。

もしかしてこれ、送ろうと思っていた候補の文が下に並んでるのか……?

そして結局『おやすみなさい』に落ち着いたと。消すの忘れたと!


流石同類(クソ失礼)、思考が手に取るようにわかる。

俺もやった事ある(黒歴史)。


「返さなきゃ……」


……まずい。

とりあえず、勉強しながら返していこう。

こういうのはあんまり考えたらダメだからね。



詩織『んま違えました かmく好きとかありますか』

詩織『科目』


東町一『ポップコーンが好きです』


詩織『え』

詩織『 』




もも『家に邪魔しちゃうから、お菓子は奢りますよ~』

もも『あんまり大きいのとかやめてね~?』


東町一『物理が好きです』


もも『えっ いっちって勉強がお菓子扱いって事……?』

もも『(犬が怯えて小さくなっているスタンプ)』




「あっ」


 

なんでこうなるんだ……(死)。


『疲れているのでおやすみなさい ごめんなさい』——それだけ打って、俺は『創作部屋』に行く。

スマホは置いて。



「……明日の為に、頑張るか!」



コーヒーを片手に。

俺は、その新品の本を読み進め、書き記して。


明日迎える二人の事を考えながら――彼女達のため、脳に知識を詰め込んでいく。


必死に。期待を裏切ぬように。

置時計、PM11:00。次に見たのはAM5:00。

あっという間に、土曜の夜は更けていった。


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