土曜の夜は更けていく
□
【>>5で俺は変わろうと思う Pert8】
170:名前:1
この世界は夢か?
171:名前:恋する名無しさん
そうだよ 実は脳にケーブルを刺されて現実という名のゲームをやっているんだ
172:名前:恋する名無しさん
俺の今食ってるおにぎりも実はデータの集合体なんだよね 多分3GBぐらい
で、どうしたんだ なんかあった?
173:名前:1
友達に家で勉強しようって言われた
夢かな 嬉しすぎて覚めた時が怖いんだけど
174:名前:恋する名無しさん
なんだその青春(激痛)みたいなイベント……うっ(瀕死)
175:名前:恋する名無しさん
イッチも成長したなぁ
176:名前:1
ただ部屋がカレー臭いんだよね あと蟻の巣キットが食卓に飾ってあるんだよね
177:名前:恋する名無しさん
草
178:名前:恋する名無しさん
スリーアウトってところか……
179:名前:恋する名無しさん
掃除しろ(怒)
180:名前:1
匂いは脱臭、色々片付けるとして……他何かいるかな?
学力的に勉強教える事になると思うんだけど、おすすめの本とかある?
せっかくこんな、一生に一度あるかないかの奇跡のイベントなんだ
できる限りの事はしたい
お願いします、力を貸して下さい――――
□
☆
「もうこんな時間か……」
本当に、一日が過ぎていくのは早い。
集中していたらなおさら。
気付けば既に土曜日の夜中。
□
もも『10時頃に行くね〜』
東町一『はい』
もも『大丈夫?』
東町一『大丈夫』
もも『明日は楽しみ〜』
もも『(震えた猫のスタンプ)』
東町一『∧_∧』
東町一『(=^_^=)』
もも『かわいい!』
東町一『・ 〇 `↑^q
~ ( ▲
`)』
もも『怖いよ!!』
東町一『aaa matigaeta』
東町一『ごめんなさい 調子に乗りました』
□
……。
やっべぇ緊張してきた(絶望)。
とりあえずこの土曜日で色々準備したけど。
おかげで1年の頃溜め込んだ貯金がまたまた削られました。
だが後悔はない。
このアロマデュフューザー(水蒸気式のやつ)から、香る匂いに癒やされながら天井を仰ぐ。
……もちろん準備というのは勉強もある。というかそれがほとんど。
なぜなら彼女達に教鞭を取る(何様)必要があるからだ。
□
もも『勉強って一人で出来ないんだよわたし〜』
東町一『そうなんだ』
もも『すぐ寝ちゃう。それか漫画読みだして終わり』
東町一『それはよくないね』
もも『だから大体はあやのんと一緒にやるんだけど、あやのんも勉強苦手で——』
□
いやいや。
このメッセージって、切りどころ何処だよ。
延々と終わらなくない?
世界が終わるまで俺は彼女に言葉を送り続けるのか。
……それもアリかもしれん(錯乱)。
□
もも『あっあやのんに注意された〜 ばいばい!』
東町一『ノシ』
もも『えっ可愛いねそれ ノシ ノシ←あやのんのぶん』
□
さようなら、と打つのは少し嫌だった。
少しフザケてそれを送れば、そんなメッセージが帰ってくる。
思わず口が
こういうの、憧れてたんだ。
今の俺キモい顔してるだろうなぁ……。
——ピコン!
□
詩織『テテテtス』
□
「……は?」
と思ったら通知が上に出る。
名前は——『詩織』、椛さんだ。
□
詩織『すいません間違えました』
詩織『すいません間違えたのはさっきの文面という意味で』
詩織『すいません間違えました、すいませんややこしいですね メッセージを送る先を間違えたわけでは——』
□
「……あ、焦ってるな……」
あのワタワタ状態(鳥)の椛さんが目に浮かぶ。
どうすれば良いんだコレは(混乱)。
□
詩織『テスト、がんばりましょう』
東町一『頑張ろうね』
詩織『はい、さようなら』
東町一『うん』
□
と思ったら、そんな簡潔な文。
それで終わる言葉。
そんだけかーい!!!(ズサササササ)。
なんて思わない。彼女なりに考えて送ってきた文字だろうから。
椛さんの気持ちは痛いほどわかる。結局色々考えて全部消しちゃうんだ。
それでどんどん関係が希薄になっていくんだよな(中学の黒歴史)。
……メッセージアプリって奥が深いですね(?)。
――ピコン!
「え」
□
もも『そういえばいっちってお菓子何が好きなの~? 明後日持っていくよ~』
□
名前は初音桃。
お菓子、お菓子か……。
――ピコン!
□
詩織『おやすみなさい ちなみに、得意科目とかありますか
図書館好きですか
図書館とか行きますか
テスト科目で得意とかありますか? 僕は現代文が好きです
図書館で勉強は捗りますね
一君はあれから図書館に行きましたか』
□
「ひぇ……(恐怖)」
現れる長文。
もしかしてこれ、送ろうと思っていた候補の文が下に並んでるのか……?
そして結局『おやすみなさい』に落ち着いたと。消すの忘れたと!
流石同類(クソ失礼)、思考が手に取るようにわかる。
俺もやった事ある(黒歴史)。
「返さなきゃ……」
……まずい。
とりあえず、勉強しながら返していこう。
こういうのはあんまり考えたらダメだからね。
□
詩織『んま違えました かmく好きとかありますか』
詩織『科目』
東町一『ポップコーンが好きです』
詩織『え』
詩織『 』
□
□
もも『家に邪魔しちゃうから、お菓子は奢りますよ~』
もも『あんまり大きいのとかやめてね~?』
東町一『物理が好きです』
もも『えっ いっちって勉強がお菓子扱いって事……?』
もも『(犬が怯えて小さくなっているスタンプ)』
□
「あっ」
なんでこうなるんだ……(死)。
『疲れているのでおやすみなさい ごめんなさい』——それだけ打って、俺は『創作部屋』に行く。
スマホは置いて。
「……明日の為に、頑張るか!」
コーヒーを片手に。
俺は、その新品の本を読み進め、書き記して。
明日迎える二人の事を考えながら――彼女達のため、脳に知識を詰め込んでいく。
必死に。期待を裏切ぬように。
置時計、PM11:00。次に見たのはAM5:00。
あっという間に、土曜の夜は更けていった。
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