一レス
重い身体を引きずって、何とか帰路に着く。
《次は○×駅、○×駅――――》
電車の中。
いつもなら適当な参考書を開くが、今日はそんな気分じゃなかった。
ひたすらにボーっと窓からの景色を眺める。
思えば、如月さんと初音さんとは同じ最寄り駅だったんだよな。
凄い奇跡だ。
それに気付いたのも、入学から一年経った今だけど。
もし。
もっと早く、その事実を知っていたのなら。
彼女と――もっと深い友達になれていたのだろうか。
「……」
やがて風景に飽きて、手元にその液晶を持ってくる。
その答えを確かめるために。
□
【>>5で俺は変わろうと思う Pert6】
301:名前:1
相談なんだけど良いかな
302:名前:恋する名無しさん
どうぞ
303:名前:恋する名無しさん
恋に関する悩み以外なら
専門分野は鮮魚について
304:名前:恋する名無しさん
>>303
出てけwww
305:名前:1
いや、恋に関する相談じゃないんだ
306:名前:恋する名無しさん
え
307:名前:恋する名無しさん
ここってモテたい1が変わりたいスレじゃないのw
308:名前:1
そうだっけ?
309:名前:恋する名無しさん
そうだっけ?
310:名前:恋する名無しさん
ひたすらイッチに無茶ぶりして楽しむスレじゃないのか……
311:名前:恋する名無しさん
安価提案してるのは彼なんですけどもww
312:名前:恋する名無しさん
まあまあ で相談って何
313:名前:1
……まあいいか
実は、最近友達になった人が居て
314:名前:恋する名無しさん
うん
315:名前:恋する名無しさん
あのボッチのイッチ(虹色)にフレンドが出来るとはね
316:名前:1
でも、全く相手にならないというか
今日もほとんど喋れなかったし、どうすれば良いか分からなくてさ
317:名前:恋する名無しさん
相手にならないって?
318:名前:1
教室の片隅でいつも一人の俺と、明るくて人気なその友達じゃその……なんていうか
319:名前:恋する名無しさん
あー 結構カーストに差があるのね
320:名前:恋する名無しさん
言わんとすることは理解できるけど
相談というかただの愚痴じゃん
321:名前:恋する名無しさん
1にしては珍しい
322:名前:恋する名無しさん
結局イッチはどうなりたい?
□
携帯を持つ手が、フリック入力出来ずに固まる。
『どうなりたい?』――その答えを頭の中で探して、求める。
《――「わたし、いっちと友達になりたい!」――》
あの時。
そう言われてから――彼女に対して、自分はどう思った?
……。
俺は――――
□
323:名前:1
その子ともっと仲良くなりたい
入学して、初めて出来た友達なんだ
□
その言葉は、一レスとなって打ち込まれた。
紛れもない本心。
電車に揺れる中――自分で驚く。
ああ。
なんでこんな簡単な事に、俺は気付いていなかったのか。
□
324:名前:恋する名無しさん
知ってた
325:名前:恋する名無しさん
知ってた(知ってた)
326:名前:恋する名無しさん
言えたじゃねえか……
327:名前:1
でも、どうしたら仲良くなれるのかな
あんまり話す機会もなくてさ
328:名前:恋する名無しさん
大事なのは『濃さ』だ
頻度じゃない
329:名前:恋する名無しさん
友達も恋人も同じだもんね
同性だろうが異性だろうが、結局何もなければ進展しないし
330:名前:恋する名無しさん
仲良くなりたいと思うなら、色々と動くべきだぞ
恋も友もビジネスと同じだ(童貞)
331:名前:恋する名無しさん
台無しで草
332:名前:恋する名無しさん
あーあ せっかく真面目な感じだったのに……
333:名前:1
皆ありがとう 頑張ってみるよ
334:名前:恋する名無しさん
童貞一同イッチを応援しております
335:名前:恋する名無しさん
どどっどどどどどどどどど童貞ちゃうわ!!(童貞)
336:名前:恋する名無しさん
ああああああああああああああ!!!
□
騒がしいスレを閉じて。
俺は駅のホームから降り帰路に着く。
「……よっし!」
どうなりたいかは決まった。
後は行動するだけだ。
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