クラブマジック
「まさかとーまちが居るとはねぇ」
「……ちょっとね」
アレから。
彼女達も時間になったということで、ここじゃあれだから外に出た。
《――「やるじゃん虹色坊主……まさかリオがな。しかももう一人」――》
出て行き際に、最初の受付の人に声掛けられたけど。
二人の顔は怖くて見れませんでした(恐怖)。
《――「やっほコージさん! ただのクラスメイトだよ☆」――》
と思ったら柊さんが正してくれたけど。
いやなんで彼女が彼の名前を知ってるの?
思い返せば、クラブ内で柊さんはよく声を掛けられていた。
一体どういう繋がりが?
もう深く考えないことにした(思考放棄)。
「ふーん……?」
「いやアンタ初めてでしょ」
「えっそうなの!?」
「……はい」
「ふはははは! 苺と一緒だったんだ☆」
柊さんと話していると夢咲さんの突っ込みが入る。
凄い笑ってらっしゃる。魔王みたいな笑い方だ……(村人並感)。
「その割には馴染んでたねぇ、とーまち」
「そ、そうかな」
「……」
「苺も何か一気に? ってカンジ? あれ~?」
ニヤつく柊さん。
何か変な方向に思考が行ってそう。
「クラブ童貞とクラブ処女、何も起こらない訳がなく――」
「――ちょっと!!」
「ははは、苺焦り過ぎ!」
「……コイツとは何もなかったから」
「嘘つくの下手すぎだねぇ」
「ッ~!」
ほんと仲いいなぁ二人は(蚊帳の外)。
「もう17時過ぎてたのに戻ってこないから心配しちゃったよ」
「それは、スマン」
「誰のせいかな?」
「え、あ……すんません」
「やっぱ何かあったんじゃん」
「ちょっ!」
こっちに柊さんが目線をやってきたから、謝ったら変な感じになった。
陽キャ達の会話には付いていけないよ!
「やばもうこんな時間……じゃ、リオ達今から合コン行ってくるから!」
「う、うん」
「一緒に行く?」
「遠慮します(お前は正気か?)」
ノータイムで返事。
これ以上心臓が破裂するような行為はお止めください。
帰ってアリの観察準備と折り紙とインドカレーを作らなきゃいけないんだ。
「そっかー残念! また学校で話聞かせてね!」
「了解です……」
「……」
「ばいばーい! 苺ー? 行くよ?」
「あっ、ああ……」
手を振って別れるが、二人の内一人は立ち尽くしたまま。
さっきから夢咲さんがずっとボーッとしているな。
そのままフラッと柊さんに付いていく。
何か危なっかしい。
ただ柊さんが居るから大丈夫だろう、駅に向かうため俺も二人に背を向ける。
……でも。
『さよなら』ぐらいは、言った方が良かったかな。
まあ同じクラスだし。今までの関係なら別に――
「え、苺――」
「――ちょ、ちょっとアンタ」
「!?」
なんて思って
気付けば目の前に夢咲さんが居た。
「……クラブ内のアンタは、結構イケてたから」
「ど、どうも」
頭が追い付かないが、多分褒められてる(CPU使用率120%)。
「クラブ『内』は、な! じゃ――」
「……?」
多分褒められてる(シャットダウン)。
「なんで分からねぇんだよ!」
「えぇ」
「うう、もう良い……きょ――今日はありがと!!」
「どういたしまして……」
お礼を言った後、ハムスターの様に柊さんのところへ逃げる彼女。
「クラブマジックだよね、苺?」
「……」
「あれ~? マジの方?」
「んなわけねーだろ!!」
「きゃー☆」
「だからッ――」
聞こえる声を背に、俺は今度こそ駅へ向かう。
今日で大分、夢咲さんの印象が変わったな。もしかしたら思っていたより話しやすいかもしれない。
「……ふぅ」
未だにクラブの余韻が残る。切り替えねば。
《――「……クラブ内のアンタは、結構イケてたから」――》
……。
イケてるってマ? (ギャル並感)。
やっぱ無理だ。
世界一キモい顔を、俺は今きっとやっている。
人生で初めてそんな事を言われたんだ仕方ない。
帰ったらアリ視察に行こ(台無し)。
☆
□
650:名前:恋する名無しさん
……クラブどうだった?
651:名前:1
ギャルの子と踊ってたよ
652:名前:恋する名無しさん
ちょっとクラブ行ってくる
653:名前:恋する名無しさん
今夜は踊りたい気分なんだよね
654:名前:1
みんな行ってらっしゃい 楽しいところだったよ
怖いお兄さんばっかりだけど
655:名前:1
喧嘩吹っ掛けられたらすぐスタッフの人達に助けを求めると良いよ
この時間だともっと怖い人増えるだろうから気を付けてね
656:名前:恋する名無しさん
……やっぱ今日はやめとくかな 腹痛いし
657:名前:恋する名無しさん
……持病がぶり返してきたから今度にしよ
658:名前:恋する名無しさん
草
659:名前:1
おーい!!
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