急転直下
職員室。
目の前には、担任の先生。
緑縁の眼鏡を掛けたアラサー入りたてぐらいの女教師だ。
優しいし、頭も良く教えるのが上手い。
ちなみに今日教室入った瞬間に持っていた書類を全部落とした。
その後、付近のクラスメイトが優しく笑いながら拾ってあげていた光景から――先生の好感度の高さが伺える。
何で落としたんだろうね(白目)。
「……じゃあ、その髪色は別に私生活で何かあったとかじゃないのね?」
「はい」
「そう。いくら髪色自由でも、まさかそんな派手に……」
「すいません」
「結構先生達の間で、東町君のそれについて話し合ってたから」
「……そうなんですか」
「うん。一年の学期末の成績は学年五位。休みも遅刻も、問題行動も一切無し。それに休み時間は真面目に図書室で勉強してて――そんな東町君が今日来たら虹色の髪色になってるもの」
「……」
一応褒めてくれているのだろう。
実際、俺は先生視点から見れば模範的な生徒かもしれない。
ただ――この勉強は、そんなに好きでやっているわけではない。
一年の頃からぼっちだった俺は……逃げるために図書室に
あとはテスト上位になればクラスメイトから頼られるとかいう意味不明な期待から勉強ばっかしていた。休み時間もずっと。
結果、教室の中で『話しかけたらダメな人』というポジションに成り果て。
変に学年上位者になった事で変なプライドが目覚め、それを維持するために今も休み時間にすら勉強をしているのである。
自業自得である。俺の人生ってなんだ?
はぁ~あ~~(やりようもない何かを吐出す)。
「だ、大丈夫?」
「はい(いいえ)」
「それじゃもう良いわよ。ここが髪色自由なのは実際に事実だし、問題行動も無いし」
「ありがとうございます」
「気を付けて帰るのよ。勉強頑張ってね」
『b』と手を伸ばす彼女。
HPが全回復した。ありがとう先生。
そのまま退出。
「ふー……」
帰るか。結構話したな。
帰宅部の皆様はもうとっくに帰っている為、コレなら電車で同じになる事はない。
助かった……と思う自分が嫌になるね。
☆
《――次は○×駅、○×駅――》
揺れる電車の中。
流石に学校では注目の的だったが、車内となればそこまでだ。
実際色々な髪色の人達が雪崩れ込んでくるからな。
「……」
手元にある参考書を閉じて、窓から外を眺める。
あれ?
そういえばあの安価開始から何時間経った……?
☆
――その後。
スレッドを開いて俺は絶句する。
600:名前:恋する名無しさん
『ボトルシップ』
601:名前:恋する名無しさん
草
602:名前:恋する名無しさん
いっちまだ帰ってこないwwwwww
603:名前:恋する名無しさん
え、趣味今何個?
604:名前:恋する名無しさん
えーっと19個やね
605:名前:恋する名無しさん
切り良いし20個にしておいてやるか(爆笑)
606:名前:恋する名無しさん
加速
607:名前:恋する名無しさん
加速
608:名前:恋する名無しさん
加速
609:名前:恋する名無しさん
加速(これ大丈夫か……?)
610:名前:恋する名無しさん
思ってたより人集まったからな
611:名前:恋する名無しさん
仕方ないね
612:名前:恋する名無しさん
うおおおおおお
613:名前:恋する名無しさん
まさかこの短時間で600行くとはね
614:名前:恋する名無しさん
加速
615:名前:恋する名無しさん
加速
616:名前:恋する名無しさん
『UFO探査』
617:名前:恋する名無しさん
そろそろやね
618:名前:恋する名無しさん
『燻製』
619:名前:恋する名無しさん
『缶コーヒー収集』
620:名前:恋する名無しさん
『ポロ』
621:名前:恋する名無しさん
www
622:名前:恋する名無しさん
ポロって何だよww
□
「ポロって何だよ……」
その声が、虚しく部屋に響いた。
☆
《ポロ》
団体球技の一つ。
乗馬しながら球をゴールに運ぶと得点になる。
広大な競技場と、最低一人二頭の馬が必要という厳しい条件の為、日本のプレイヤーはほぼ居ない。
カヌーポロやサイクルポロ(自転車)など、馬とは別のものに騎乗するポロも存在する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます