第2話 許さない、許さない!!

「だったら、、」



サーシャはレベッカを睨みつけた。




「なぜ、なぜ、、



 僕が君に結婚を申し込んだときに


 

 愛していない、


 と、伝えてくれなかったんだ?!」





レベッカは、目を見開いた。


サーシャは、激高して、


目が赤く充血している。




「サーシャ聞いて、、、。」





「死を偽装し、、、!



 僕を絶望に追いやって置きながら、、!



 僕を、


 愛してない、なんて、




 よくそんなことが言えたな!!」





サーシャの周りに、


黒い渦が巻き起こる。





「僕にあの偽物を愛せだと?!




 許さない、、




 僕は許さない!!」




「ごめんなさい!


 サーシャ!!



 落ち着いて!!


 貴方がそんなに怒ったら、



 悪魔を呼んでしまうわ!」





この国には時々


魔法を使えるものが現れる。





レベッカと、サーシャもその一人である。





特にサーシャの魔力は


100年に一度と言われるほどで、



本人すらまだ制御できないほどの




大きな魔力である。



まだ、


魔力を制御しきれないサーシャは



特定の場所以外で魔法を使うことを


禁止されている。





「だめよ!!


 サーシャ!!


 落ち着いて!!」





サーシャの怒りは、


魔法となって


土地を揺らせ



負の感情が悪魔や魔物を呼ぶ。




レベッカは呪文を唱え


サーシャの周りに


シールドをはった。





必死で悪魔をサーシャの側から


離そうとするも、


数が多く、


どんどん魔力を消費してしまう。





「許さない!!


 許さない!!!!」




サーシャは怒りに我を忘れている。




バリンッッ



レベッカがサーシャの周りに張っていたシールドが


割られ、



一体の悪魔が



サーシャの前に現れた。





『力を欲するならば、


 吾が与えてやろう。




 その代わり、


 お前の魂を差し出せ。』





悪魔はサーシャに言った。





「だめよ、サーシャ!



 その契約を結んではだめ!!」





サーシャは目から赤い血を流しながら、



「力をくれるならばっっ


 僕はなんだって差し出そう!!!」




と叫んだ。




悪魔はサーシャに吸い込まれた。



あたりは真っ暗になったが、


嵐は少し穏やかになった。




ぽつりぽつりと雨が降り


レベッカの髪を伝った。



サーシャはレベッカを睨みつけ



「レベッカ


 もう一度だけ、チャンスをあげよう。




 君は僕をどう思っているの?」





レベッカは、


サーシャを弟のように愛していた。




サーシャが魔法を暴走させたとき、


サーシャを止めるのは


レベッカの役目だった。





だから大人たちは


サーシャの側にいつもレベッカを置いた。




だいじょうぶよ、落ち着いて、


レベッカがそう言えば


サーシャはいつも正気に戻った。





そして今、


サーシャはまた暴走している。





「愛して、いるわ、、


 だからサーシャ、


 だいじょうぶ、落ち着いて?」





サーシャの表情が一瞬緩むも、


すぐに狂気的に歪んだ口元になった。




「愛しているならば


 死ね!!!」



サーシャは、


いや恐らくサーシャのうちに棲む悪魔が




右手にパワーを集めると



レベッカに向けて


攻撃した。





当たりに爆発音が響き渡る。




爆風によって


サーシャの体は吹き飛ばされ


その衝撃でサーシャは気を失った。






「レベッカ、、、、?」



サーシャが再び目を覚ました時



それまであったはずの



農地と家は無くなっていた。



サーシャの正面には


正面は隕石が落ちた様な跡ができていた。




「何があったの、、?


 レベッカは??」



サーシャは、その場にうずくまって


泣いた。






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