双子の妹が元婚約者と結婚するみたいです。

皐月ふう

第1話 お願い、わかって?

「レベッカ!!


 生きていたのか!!」





王宮から遠く離れた田舎の村に


王子サーシャは来ていた。




サーシャは信じられない思いで、


レベッカを見つめた。




過去とは全く異なる農民の服を来ているが、


それでもなおレベッカは美しかった。




一年前、レベッカは不慮の事故で


亡くなったはずだった。




当時、レベッカとサーシャは


婚約していた。




レベッカは、


首をかしげて、



そっぽを向いた。





「人違いでは、、?」




そんなはずはない。


サーシャには分かった。



「とぼけてもむだだよ!


 君の顔のほくろの位置も


 嘘をつくときの顔も、



 僕は全部覚えてるんだから!!」





レベッカはため息をついた。



「左様でございますか。


 それではサーシャ様、


 私からも一つ質問がございます。」




「な、なに??」






「貴方は明日、ルーナ嬢と


 結婚されるのではないですか?


 なぜここにおられるのですか?」


ルーナはレベッカの双子の妹だ。


レベッカの死後、


サーシャはルーナと婚約し




明日結婚する予定であった。






しかし、王都からこの田舎町までは、


馬を飛ばしても2日はかかる。



それはサーシャも分かっていた。


しかし


レベッカが生きているという



噂を聞いて、


いても立ってもいられなくなって


しまったのだ。




「君には関係ないだろ!」




「関係あります。



 貴方が明日結婚するはずの人間は


 私の双子の妹なのですから。」






サーシャは拳を握った。


「けど!


 君は僕の婚約者だった。

 

 本当なら今頃、僕らは


 結婚して


 子供だってできてるはずだった!」





レベッカは、サーシャを見つめた。


サーシャは相変わらずだ、


とレベッカは思った。




一年前、


馬車が事故にあったとき


レベッカは死を偽装した。





レベッカは、


馬車が事故を起こすように仕向けたのが



双子の妹、ルーナだと分かっていた。




ルーナはサーシャが


昔から大好きだった。




サーシャとレベッカが婚約してから、


ルーナが少しずつ可怪しくなるのを




レベッカは放ってはおけなかった。






「サーシャ様。」





レベッカはサーシャに呼びかける。


レベッカが死んでから、


サーシャとルーナの間に



何があったかは



レベッカにはわからない。





だが、


サーシャがルーナを選んだという事実を


レベッカは信じたかった。





「貴方の知るレベッカはもういません。


レベッカはもう、死にました。」





「嫌だ、、、。」



レベッカは弟のように大切に思う


サーシャを見つめた。





レベッカにとってサーシャは弟だった。





だから、お願い。


「もう帰って。



 そして、



 自分のいま持っているものを


 しっかりと見つめて。




 レベッカは貴方を



 愛してはいなかったの。



 わかるでしょ?」


レベッカは、サーシャに言う。


二人の将来の幸せを願っていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る