【12色目】最初の放課後 〜語り手の1日目〜

みんな、個性の溢れる面白い、いい初日を送っているだろう?


それに、少しだけ、彼らのことがわかったんじゃないかな?



黒の少女は、俗に言うエリートだ。


昔から親にリーダーなどをやらされてたせいでよく学級委員なんかは押し付けられていたが、やはり本人の意思に反することはやらせるものではないね。


白の少年も、その点ではやはり親から強要されていたから、エリートと言えるだろう。


しかし彼は自信が足りない。

黄の少年にプリントを届けにいく時点でオドオドしていたからね。


黄の少年には愛が足りない。


まだ彼のことは語れないのだが……知れば知るほど黄の少年は純真な人だということがわかるだろう。


赤の少年は……まだ特筆すべき点があらわになっていない。


いつかはきっとわかるだろうが……今はまだそのときではないね


紫の少女は、とても恵まれている。


一体の面白い精霊に愛され、持ち前の魔力もおそらくクラス一位だね。


物を持ち上げたり拡大縮小したりする魔法には色がついていないため、『からの魔法』という名前がついている。


彼女はこの魔法を四六時中使っているのだから、相当な魔力の保持者だよ。



そういえば、魔力が何かについては説明していなかったね。


魔力は、その名の通り魔法を使うために使う力のことさ。


精霊の力を借りる時は通信のようなものをするんだ。

その通信をするときに使うエネルギーのようなものが魔力と呼ばれているのさ。


精霊から力を借りる必要のない色がついていない魔法を空の魔法といってね。

それを使うときも魔力を消費する。


魔力は第二の体力と言われていてね。


運動の時に使う体力と同じで消費すれば疲れるし人によって保有量も違う。


例えるなら、紫の少女は四六時中ランニングしてる状態と同じといったところだろうか。

まぁ、普通にやったら相当疲れるね。



話を戻そうか。


青の少年はとにかく美しい。


そこらへんの少し不細工な俳優と比べたら顔も美しいだろうし、奏でる音楽も綺麗だ。

きっとこれから女生徒にキャアキャア言われるんだろうね。


しかし一つだけ、彼には感情が足りなすぎるのだ。


もっと心の中にある何かを掴めるようになれば、彼は完璧な人間になれるだろう。


緑の少女の歌は完璧で、容姿も心もそれと同じくらい綺麗だ。


断言してしまおう。


あの娘よりも美しい人は、私が語る話の中には出てこない。


けれど、白の少年と同じで、彼女にも確固たる自信がないのだ。


誇っていいものを持っているのに心のどこかに何かが引っかかって胸を張れない、そんなところは、白と緑の共通点と言えるだろう。



さて、人物の解説はここまでにして、二日目の話に移ろうか。


そういえば、気づいているかな?


『虹寮』と言っているのに、黄の少年以外はみんな自宅に帰っていて、変だと思わなかったかい?


そう、本当だったら虹ノ森高校は全寮制の学校だ。


理由があって、彼らはまだ家に帰らなくてはならなかったのだが、次の日からは寮暮らしの準備が始まる。


さぁ、彼らの次の日の話をしようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る