第5話 それとこれとは話が違いますから。

「それは、



 愛の告白と捉えていいのかしら?」





私、ジェシカは


胸を高まらせて


カーリィを見つめた。





カーリィは真顔で首をふる。





「いいえ。」




「え?


 だって貴方、


 私のいない未来には



 行きたくないって。」




そう


言ったわよね?


空耳だなんて


言わせないわよ。




「貴方のいない未来に


 行きたくないことと、



 愛の告白がどう繋がるのです?



 ジェシカ様。



 それは全く別物ですよ。」



カーリィが真顔で言った。




「そ、そうなの?」




恋愛経験のない私には


カーリィの真意が分からなかった。





「じゃあジェシカ様は


 姉上がいない未来に




 行きたいですか?」




「それはまぁ


 嫌だけども。」


でも、そもそも私


もう永く生きられないのだし。





「ほら。」




ほらって、言われても。




「とにかく、


 明日の夜までに



 誘拐される準備をしてください。



 一度誘拐されてしまったら


 この国に戻って来れるか、


 わからないのですから。」





誘拐される準備てなによ。


真顔で言うカーリィが


面白くて仕方ない。





私には、


誘拐される準備なんて


必要ない。




ただワクワクして、


待っているだけなのだ。





-------------------------------------------




「ジェシカ様。



 昔家庭教師をしていたカーリィのこと、


 聞きましたか?」




次の日の朝、


目が覚めると、


メイドの一人が私に尋ねてきた。




内心どきんとしたが、


何食わぬ顔で聞き返した。




「カーリィが何かしたの?」




「K国のスパイの容疑で



 今日



 逮捕されるそうですよ。」





「え?!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

私が不治の病だからって婚約破棄していいわけじゃないよ?最後に復讐するってきめたの。 皐月ふう @fuchan22

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る