第2話 2ヶ月間だけそばにいて?

初めてジェシカに出会ったのは、


彼女がまだ


10歳の頃だった。




俺のスパイとしての

 

最初の活動が


この国の動向を探ることだった。





第2王女ジェシカは


小さい頃から病気がちで、


その原因もよくわかっていなかった。





いつまで生きるか分からず、


もしかしたら伝染る病気を



持っているかもしれないジェシカ。



彼女の


家庭教師をしたい人間は少なかった。





だから、都合が良かった。




そして今、


ジェシカは


自分の秘密を盾に、



婚姻を結んで欲しいと言う。






「たった2ヶ月よ。



 カーリィ。」





ジェシカは、


微笑んでいる。






2ヶ月、


恐らくそれは、


ジェシカの余命なのだろう。





「わたしは、



 ずっと、



 あなたのことが



 好きだったわ。



 わかるでしょう?



 ね、お願い。」





10歳のとき。




初めて出会ったときから、


彼女は酷く


大人だった。  





強くて、美しくて。



カーリィにはそれが


あまりにも儚く感じて、


嫌だった。





「嫌だと言ったら?   



 私はスパイとして


 

 捕まるのですか?」





ジェシカは、


眉をしかめた。



「何が言いたいわけ?」





「貴方には、


 私をスパイとして


 付き出すことは


 できないでしょう?」


 





「酷いやつ。


 

 人の気持ちを逆手に取るんだ。」




ジェシカは頬を膨らませた。




失敗かぁ、


ジェシカは寂しそうに呟く。





「婚姻はしません。



 その代わり、



 貴方をK国に



 誘拐します。」






時が来たら、


そうしようと思っていた。




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