第3話
蓮宮はその後も、地道に取材を重ねたが、有力な情報は得られなかった。
「みんな、綺麗な人に嫉妬しているから、こんな都市伝説が生まれたのね」
身近にいる綺麗な人が人造人間ではないかと言うが、普通に会社で働いていて、ミステリアスを感じないが、とりあえず、人造人間と疑われている人たちにも、直接話を聞いてみた。
「
蓮宮が聞くと、
「ええ、そうですけど。私に何の御用でしょうか?」
片岡は無表情で言った。
「すみません。この度は、突然の取材の申し込みに応じて頂き、大変感謝しております。改めて、自己紹介します。私は旭日出版の蓮宮玲子と申します。今回、お話しを伺いたくお呼びたて致しましたのは、都市伝説『麗しのフランケンシュタイン』について、調べていまして、少しお話しを伺いたいと存じまして」
「お電話でも、そのような内容の事をおっしゃっていましたが、私はその都市伝説については何も知りません。そうお答えしましたが」
一筋縄ではいかない、少し手ごわい相手だった。表情から何も読み取れない、美しい容姿に、聡明さも窺える。立ち居振る舞いに品があり、同僚の女が完璧と言った意味が分かる。
「そうでしたね。それでも、こうして来ていただいたのには、あなたにも何か話したい事がおありなのではないでしょうか?」
蓮宮は、諦めることなく彼女に挑んだ。
「ええ。蓮宮さんに取材の申し込みをされ、都市伝説を知りました。私なりに調べてみましたが、何の根拠もない、ただの噂話に過ぎません。私の同僚の
完璧な返しだった。蓮宮も、これ以上の取材は難しいと感じた。それでも、なおも食い下がり、質問を変えてみた。
「片岡さんは、理工学部出身とお聞きしましたが、どうして製薬会社の経理部なのでしょうか?」
「個人的な話しです。お話しする義理はありません。その情報はどのように入手しましたか?」
「すみません。同僚の方からお聞きしました」
片岡は手強いどころか、隙も見せない。
「では、これで失礼します」
そう言って、片岡が立ち上がった時、
「人造人間を見たくありませんか?」
蓮宮が落ち着いたトーンで言った。すると、片岡の表情が一瞬変わった。どうやら、反応ありのようだ。彼女は再び、蓮宮の前に座り、
「それは何かの冗談ですか?」
と無表情で言った。
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