第8話
花圭琉side
もう雪は入院したけんな〜なんて生ぬるい考えをしてしまった。雪は蓮に伝えず、入院をし、生死を分けた試験を受けている。今度会いに行くのは2日後。俺は雪の大好きなものはなんやったけ?と思い出しながらスマホを見る。すると蓮が血相を変えて俺のところに来た。
「花圭琉!!雪は!?」
「俺が知るわけないやろ。」
と俺は蓮に嘘をついた。それが雪の願いやからな。雪のことを1番知ってるのはお前やろと怒りそうになった。だって雪が見るのはいつもお前だったやからな……。蓮は俺にスマホを見せつけてきて
「雪から連絡がないけん!電話してもでないけん!!」
「雪がスマホ見てないだけやないの?」
とまた嘘をつく。雪は既読がはやいから2日たっても連絡がつかないということはありえない。
「そんなことないけん!」
俺は蓮の事を無視して雪に欲しいものがあるかLINEした。すると蓮はそんな俺に怒ったのかスマホを取り上げそして俺のスマホを見てしまった。
「……は?……こ、これどういうことだよ……」
蓮の声は震え、俺とゆっきーのトーク歴をスクロールした。蓮の目から段々と涙が出てきて、蓮は俺に
「花圭琉……俺雪に嫌われてたんか……?だから雪は俺に言わなかったけんか……?」
と言った。違うゆっきーは……お前のことが大好きやった。だから言わなかったけん。
ゆっきーごめんなぁ。俺ゆっきーの約束破ってしもうた。蓮に正直話した。ゆっきーが病気でもう助からないことも。蓮になんで隠したのかも……。俺は蓮に
「ぜってぇ。後悔しないようにするけんよ?」
と強く言った。蓮は
「あぁ。」
と言い蓮はゆっきーの元へ向かった。
雪side
診察や検査など、入院生活にも慣れてきた。私はもう歩けなくなってしまった。車椅子で外の空気を吸いに行こうとし、病室から出た。すると外来で来る人たちの目線が痛かった。なにコイツ……、若いのにお気楽ねぇ、など思っているのだろう。それにコソコソとおばさんたちが
「私たちのほうが重症なのに若い人って本当に根性がなってないわぁ」
と言っていた。私は下を向くしかなかった。
それにもうすぐ死ぬだなんてこの中にいる人たちは誰1人も思っていないだろう。私は背中を丸め、車椅子を動かした。やがて外に出ると新鮮な空気が入り、清々しい気分になった。冬になり空気も冷たく、木々は枯葉が落ちていく。私は景色を眺めたあと病室に戻ろうとした。しかしそこには
汗と涙を流した蓮がいた。
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