第7話 白兎を捕まえろ!地獄の鬼ごっこ開幕③

「モップのやつ…本当にどこいっちまったんだ?」

 野草を探しに住処を出てしまったモップを連れ戻す為、俺は森の中を彷徨さまよっていた。

 リルが言うには、モップの探している野草は住処の北側にあるらしい。

 しかも、モップは魔獣が怖いらしく、おまけに魔獣に好かれやすいらしい。

 モップが危ない目に会ってないか心配だ……早く見つけてやらないと………ん?何だあれ……

 深い森の中、木と木の間に無数の白い糸のようなものが着いている。

 周りを見渡すと、沢山の白い糸が木々に付着していて、気がついた時には森の景色が変わっていた。

「これは…」

 恐る恐る白い糸に触れてみる。すると、ベタベタと粘着性があり、触れた指の先には糸が絡みついていた。

 間違いない…これは蜘蛛の糸だ……

 こんな場所に無数の蜘蛛の糸、それに木を覆い尽くす程だ……恐らく、とんでもなくデカいのがいる。

 俺は木々の間の蜘蛛の糸をくぐり抜けながら慎重に進んでいく。

 段々と辺り一面が白い世界になっていき、俺の背には冷や汗がじんわりとにじんでいた。

 ……そして俺は目にする。

 蜘蛛の糸で作られた、白くて丸い物体を。

 気がつけば、周りにはそれらが幾つもあり、中にはドロドロに溶けている物もある。

 大きい物から小さいものまであるそれらは、至る所に存在し、不気味な光景となっている。

「モップ…無事だよな」

 思わず呟いてしまう。

 モップは魔獣に好かれる体質らしいからな…こんな所に迷い込みでもしていたら、蜘蛛の餌食になってしまう。早いとこ見つけてやらないと。

 俺は慎重に少しずつ奥へと進んでいく。やがて、少し開けた場所に出る。

 そこには大きな木が中央に一本立っており、その木を中心として辺り一面に巨大な蜘蛛の巣が作られていた。

「おいおい…まじかよ」

 そこには様々な大きさの白く丸い物体が無数にあり、先程みた倍以上存在していた。

「……ゅ〜………」

 何だ?何かの鳴き声が聞こえてくる。

「もきゅ〜」

 この鳴き声は……間違いない、モップだ!

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