断章
あれは忘れもしない
全て語り終えた夕方
片隅に立つ青白い鬼
その美しさに
目が奪われて
その美しさに
見つめられて
身動きが取れなかった
美しい鬼はゆっくりと近づいてくる
そして目の前で立ち止まったかと思うと
唇を重ねるように
その体が倒れこみ
何もなかったかのように
全て夢だったかのように
消え失せたのだった
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