おじvs納豆ご飯丸
「おじなバイト辞めてナマポ貰った方が稼げると思うねん」
最近おじは腰を痛めたこともあり、楽に金を稼ぐ方法を検討していた。
ほとんど人がいない深夜のデュラチャでおじはつい甘えた発言をしてしまったのだ。
「デュラチャってほんと落ちぶれてくやつしかいないよな」
そんなおじを哀れに思い一言申したのは、納豆ご飯丸。デュラチャで最も危険地帯と言われる固定部屋でその名を知らぬ者はほとんど居ないヘビーユーザーだ。
「ナマポは冗談やで?おじには美味しいパンをみんなに食べさせたいっていう夢があんねん」
「36歳で実家暮らしで定職つかずにパン屋やんねん!って息巻いてる時点で無事ナマポコース入ってるよ」
おじは納豆ご飯丸に誹謗中傷されていると思い込み耐えられなくなると、いつもの必殺技を発動した、
「お前それ顔出しでおじに同じこと言えるか?」
ネットで顔も本名も出していることは、おじがデュラチャ民にマウントを取れる数少ないポイントだ。
「俺は有名大企業勤めで妻子持ち。おじくんと違って失うものが多いから安易に顔なんて出せるわけない」
「イヤッ。それはお前がネットで誹謗中傷してるからやで」
「普通に配信してるだけで会社クビになる事例なんていくらでもあるんだよなぁ。
失うものの重みを考えたまえよ。あっおじには失うものなんてないかw」
おじのこめかみの血管がビキビキとなり始めたが納豆ご飯丸はそれに気づかない。
「納豆。お前そろそろやばいで?」
「何がだよ」
「おじの膝警報でてるで?」
「ほーん」
おじは表面上こそ冷静だったが、ハラワタはマグマのように煮えたぎっていた。
「おじにあって、お前にないものわかるか?」
「障害?」
納豆ご飯丸の無礼な行いに対してついにおじがキレる!
「お前らにはな、人の心が無いんやぁぁぁぁああぁ!!!!!」
「やれやれ」
しかしおじがチャットでいくら語っても納豆ご飯丸の心には届いていないようだ。
おじはもう言葉ではこれ以上伝えられないと悟ると、
「無キャ、よの、納豆。おじが膝でわからせるリストや。おじに誹謗中傷した者は、膝で償わなければあかん」
と、予告をした。
「誹謗中傷と暴行どっちが人として問題あるか考えてみろよ」
「お前らは人間じゃないねん!デュラで人間はおじしかおらん!」
そしておじは部屋に居たオマエラヤン(注・オマエラヤンはおじのアンチ)を切断していった。
「おじ発狂してて草」
「ミャオチョフ。お前もや」
おじがオマエラヤンを切断し終わった時、部屋にはおじ以外誰も残っていなかった。
***
翌日。
おじはいつも通り、昼過ぎに起きてパン工場へと向かった。
「あー、おじくん今日でクビね」
「なんでやねん!?」
工場長とおじが顔を合わせるやいなや、工場長はおじに突然の解雇を告げた。
「おじくんネットで配信してるでしょ。タレコミがあったんだよね」
「イヤッでもおじ別に悪いことはしてへんで」
「良いとか悪いとかじゃなくてさ、もうこうやって店に連絡来る時点で迷惑なんだよね。これから店になんかあったら困るしさ、そういうわけで」
工場長はおじの肩をぽんと叩くと、
「おつかれ」
そう言い残し有無を言わさず立ち去ってしまった。
おじは呆然と立ち尽くすと突然、
「お前らのせいや!お前らのせいや!」
と、地団駄を踏んでこの場に居ないデュラチャ民に怒りをぶつけ始めた。
こうしておじは職を失い、無敵の膝を持つモンスターが誕生したのであった。
BAD END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます