おじvsたつくん
「たつくんチャンネルのたつくんだよー。今日は怖そうなおじさんの部屋に遊びに来てるよ」
「……」
ある日のデュラララチャット。おじの部屋に固定部屋のアイドルと呼ばれているたつくんが訪ねてきていた。
しかし、おじはたつくんの来訪を快く思っていないようであった。
「『たつくん Youtube』で、はい検索!みんなチャンネル登録してね」
「……ヴォイ」
「ほえ?」
「いきなり出てきて何好き勝手やってんねんお前!おじの部屋で勝手に変な動画宣伝すな!宣伝料取るで?」
「えー、だってたつくんチャンネルはたつくんが好き勝手するチャンネルなんだよ?だったら僕がこの部屋で宣伝するのも自由なんじゃないかな」
「あのな、おじはこの部屋の王やで?おじの言うことは絶対や。わかるか?」
「まあまあ。そんなことより、今日は面白い動画をアップしたんだー」
たつくんはおじの言葉をのらりくらりと回避すると、チャット上にYoutubeのリンクを貼り付けた。
「じゃじゃーん、もちっとガトーショコラを食べる動画です」
それはたつくんが家の外で半額シールの貼られたお菓子を食べてる動画であった。
「もうわかったわ。お前、おじのキャス上がってこい。そこで分からしたるわ」
「僕とコラボしてくれるの?わーい」
そうしておじと、たつくんと一緒にキャスを始めた。
「はーい!こんばんはー!みんな、今日もたつくんを応援してくれてありがとうね!」
「チャウチャウ!これはおじのキャス配信やで?お前のファンなんて一人もおらん」
「えー、そんな悲しいこと言わないでよ。一人くらい来てるよ。たつくんチャンネルの登録者294人もいるんだよ」
「おじの勝ちや。おじのTiktokフォロワー数4655人おるで」
「でもおじさん、無断転載してるから自分の動画じゃないんでしょ。たつくん知ってるよ」
「こっの……!おじを舐めるな!」
おじは大人気なく机をドン!と叩き、たつくんを威嚇した。
「こわいよ~(;_;)」
「そこまで言うんだったらわかったわ。おじも食品レビュー動画あげたる」
「え!ほんとに!?」
「お前の動画の再生数100とか200やろ。おじが本気出して動画あげたら一瞬で抜いたるで」
「じゃあ勝負しよ!負けた方が何でも言うこと1つ聞くってことで!」
「ええで。おじが勝ったらたつくんチャンネルは閉鎖や」
***
次の日。おじはパン工場のバイト帰りに日課である餃子の王将へ来ていた。
「こじ!正論おじさんの世直しチャンネルのおじや。今日はおじのソウルフードでもある餃子の王将に来てるで」
おじはどうやらここで食品レビュー動画を撮影するようだった。おじは店に無断でカメラを回すと動画撮影を始めた。
「えーではね、餃子定食。食べていきたいと思います」
注文は済ませていたようで、おじは勢いよく餃子を食べ始めた、
「ハムッハフハフ!クチャクチャ…ズルルルウジュピ!ズゾゾゾゾゾゾゾ!王将の餃子美味すぎやろ!」
「あのーお客様……店内ではもう少しお静かにいただけますでしょうか」
しかしあまりの食べ方の汚さとうるささに店員に目をつけられてしまった。
「わかったで」
おじは店員を追い払うために忠告を聞き入れたふりをし、店員が去るのを待った。
そして、
「うーん、餃子は美味かったんやけどなぁ。店員にムカついたので残念ながら今回は、0点とさせていただくやで」
と言い残して撮影を終了した。
そしてその日のうちにYoutubeに動画をアップロードしたのであった。
***
次の日。
おじは今日も部屋を立てていた。そこにたつくんが入ってくる。
「こんにちはー!今日も元気にやっていきましょう!」
「きたなたつくん。おじの勝ちや」
おじはそして餃子の王将の動画のURLを貼り付けた。そこには再生回数が9302回と表示されていた。
「ん?おじさん、餃子の王将の動画をアップしたの?店に行くのはずるいよー」
「そんなルール決めてなかったやろ!後からゴチャゴチャ抜かすな!」
おじは勝ち誇ったようにドヤ顔をしていた。だが、現実は非情であった。
「でもおじさんの動画のコメント欄荒れてるね」
おじは耳を疑った。
画面を見ると、そこには「このおっさん超キモい」だの、「餃子の王将に失礼」だのと悪口が書き込まれていた。
「な、なんやねんこれ!」
「悪いことをして再生回数稼ぐのは良くないよー」
「イヤッおじは餃子食べてただけやねん!コメントで誹謗中傷する奴が悪いやろ!おじは悪くあらへん!」
そうしてる内に、おじの動画は『動画が削除されました』と表示され見ることができなくなった。
「そ、そんな……」
「あらら、おじさんの動画消えちゃったから僕の勝ちだね。じゃあ約束通り……おじさんにはたつくんチャンネルに出演してもらいます!」
***
数日後、たつくんチャンネルに一つの動画がアップロードされた。
「こじ!たつくんチャンネルのおじやで。今日はたつくんと一緒に幽霊の里通じる森に来てるで」
「みなさんこんにちはたつくんです!今日はおじさんと一緒に森の奥まで探検しに行きます!」
そして、おじとたつくんは深い森の中へと消えていった。
その後、おじを見たものは誰もいなかったという。
BAD END
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