おじと大きな石理論

「今日はおじがお前らにありがたい話をしてやるで」


「どうせまたしょうもない話だろ」


配信を見ていたミャオチョフが悪態をつくと、

おじが急にドンと大きな音を立て、机の上にガラスのビンを置きました。


どうやらおじはミャオチョフの言葉にキレたわけではなかったようで、そのまま淡々と説明を続けます。


「このビンが見えるか?今からこの中に大きな石を入れてくで」


そして、おじはビンに石を次々と入れていきました。

これ以上大きな石が入るスペースがなくなった時、おじは問いました。


「このビンはいっぱいだと思うか?」


「満杯だな」


「イヤッちゃう」


その答えを否定したおじは今度は小石を取り出すと、ビンの隙間に小石を詰めていきました。


ミャオチョフはブチギレて言いました、


「最初にビンと石しかない状態で質問してたんだから後から前提条件を覆すなよ」


おじはそんな声を聞こえてるのか聞こえてないのか無視して続けます、


「このビンはいっぱいだと思うか?」


「まだ入るだろ」


するとおじは今度は砂を取り出し、ビンの隙間に砂を詰めていきました。


「このビンはいっぱいだと思うか?」


「満杯になったね、よかったね」


「イヤッ!まだや」


するとおじは今度は水を取り出し、ビンに水を流し込んでいきました。


ビンが水でいっぱいになるとおじが問いました、


「お前ら、おじが何を言いたいかわかるか?」


「さあ。あーはいはい、おじはすごいな賢いなあ」


ミャオチョフはすねてしましました。もう、まともに考えていません。


「もしおじが、大きな石を最初に入れずに小さいものから入れてったらどうなってたと思う?」


おじは聞き手に想像してもらいたいようです。おじは続けて答えを言います、


「同じ量だったとしても、小さいものから先に入れると大きいものは入らなくなってしまうんや」


「おっそうだな」


「そして大きい石がお前らにとって大切なものや。お前らは大きい石から入れてかなアカンってことやで」


「お前らもってなんだよ。おじもだろ」


「おじか?おじはちゃうで」


おじはおもむろに大きな石を一つ持ち、満杯になったビンに無理やり押し込みました。


「水溢れてるし入ってないじゃん」


「おじを舐めるな」


おじはそう言うと、石の置かれたビンの上から思い切り、膝を入れました。


「おじの器はこんなもんじゃないねん!」


「今まで何の話してたんだよ。砂を抜いてから大きい石入れればいいんじゃないのかよ!」


「砂はお前らやで?おじはお前らを見捨てないんや」


そのまま、おじが何度も何度も大きな石に膝を入れました。すると、なんと大きい石にヒビが入ったのです。


「いける!いけるで!うぉぉぉおおお!」


おじは更に力を込めて膝を打ち付けました。すると、パリン!と大きな音がしました。


「え?」


おじは目を見開いて驚きました。

なんと割れたのは石ではなく、ビンの方だったのです。


「あかーん!」


とおじは叫び、気を失いました。



***



おじが目覚めると、そこは河川敷の橋の下でした。


朝起きたおじはスマホを取り出し、いつも通りデュラララチャットに接続します。


「おじはオマエラがいれば他は何もいらへんねん」


おじの住むテントの中には、砂の入った割れたビンが大事そうに置かれていました。


HAPPY END

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